2011年3月25日(金)「しんぶん赤旗」

停電 患者の命が危ない

地域救急医療が機能停止

秩父市立病院事務局次長 村田幸雄さんに聞く


 東京電力の計画停電は地域医療に大きな打撃を与えています。埼玉県秩父市は14日以降の計画停電で、24日までに7回、計二十数時間停電しました。地域の中核病院として急性期医療を担う秩父市立病院(165床)の村田幸雄事務局次長に実情と要望を聞きました。 (聞き手 内藤真己子)


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(写真)急きょ設置した、待合室の非常用電源の電灯を指す村田事務局次長=23日、埼玉県秩父市の秩父市立病院

 市立病院には重油を燃料とした非常用電源があります。いまフル稼働しています。しかし、短時間の停電を想定した設備なので、毎日のように1回3時間連続で稼働する状態では、故障が起きないか心配でなりません。

 しかも出力は165キロワット。通常使用電力の約半分しかありません。そこで(1)人工透析(2)人工呼吸器などの装置(3)緊急手術―に優先使用しています。

 重大なのは、非常用電源でレントゲン、CT、MRIといった検査機器が使えないことです。しかも、市立病院を含め秩父郡・市内に3カ所ある2次救急の輪番病院が、どこも同じ状態なのです。停電中に緊急検査が必要になってもできない。万一のとき緊急の処遇ができないという危機的状況です。停電地域から外れている近隣病院に緊急検査の受け入れ体制をとってもらうよう要請しましたが、大変、心もとない。

 停電中でも通常の外来診療は行っています。しかし、血液検査すら限られたものしかできず、診療に大きな影響をきたしています。病室の暖房も止まり、入院患者さんには毛布などで対応しています。職員は必死で頑張っていますが、疲労が蓄積してきています。

 計画停電の件で、東京電力から病院に直接連絡が入ったことはなく、テレビの情報と市の防災無線に耳をそばだてている毎日です。

 このままでは、市民の命に対して医療が対応できません。市民の安心、安全が守れません。病院は停電の対象から除外してほしいというのが切実な要望です。





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