2011年3月22日(火)「しんぶん赤旗」

福島原発事故 そこが知りたい


Q 牛乳やホウレンソウ、水道水から検出されている放射性物質ってどんなもの?

  検出されているのはヨウ素131やセシウム137という元素の放射性同位体です。自然界ではほとんどつくられないので、大半が原発などでウランを核分裂させて熱を取り出すときにできたものです。原発の場合、これらの放射性物質は、燃料のウランなどとともに、金属の管で覆われた燃料棒の中に閉じ込められています。しかし、燃料棒や、放射性物質を原発の内部に閉じ込めておくことができなくなるような事故が起こると、外部に放出されてしまいます。

Q 発生源は福島第1原発なの?

  東電は21日、19日正午ごろに敷地内で採取した空気中から基準の6倍にあたるヨウ素131を検出したと発表しました。セシウム137も検出されており、福島第1原発から、これらの放射性物質が外部に放出されていることが明らかになりました。

Q 体への影響は?

  ヨウ素は甲状腺ホルモンをつくるのに使われるので、人間にとって必須な元素で、摂取したヨウ素は甲状腺に蓄積されます。セシウムも摂取すると100〜200日間、体内にとどまります。

 野口邦和日本大学専任講師(放射線防護学)は、農作物はしっかり検査して暫定規制値を超えた農産物は市場に出さない措置が必要だと指摘しています。同時に、現在、ホウレンソウなどで検出されているレベルであれば、汚染された野菜でもお湯を使って洗えばかなり落ちるので、食べたとしても健康に害を及ぼすことはないといいます。

Q 水道水は?

  水は、野菜や牛乳と違って飲まないわけにはいきません。野口講師は、暫定規制値を超えていることがわかった地域では、行政が責任を持って汚染されていない水をその地域の住民に優先的に供給していくことが必要だと指摘しています。

Q 汚染されているのは農産物や水道水だけなの?

  野口講師は、これだけ農産物や水が汚染されている以上、土壌も汚染されていると考えられるので、土壌の汚染の状況についてもぜひ調べる必要があるといいます。ヨウ素131は、8日たつと半分に減りますが、セシウム137は半分に減るのに約30年かかります。長期に影響が続く恐れもあり、野口講師は、避難指示が出ている福島第1原発から半径20キロ圏では、それがわからないままでは、避難先から戻ろうとしても戻ることができないと指摘しています。


 ベクレルとシーベルト ベクレルは放射能の強さを表す単位で、数値は1秒間に崩壊する原子核の数。人体への影響はこの数値に一定の係数をかけてシーベルトで表します。

表




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