2011年3月14日(月)「しんぶん赤旗」

東日本大震災 仙台市の避難所

若林小体育館 七郷中体育館


 東日本大震災の発生から3日目を迎えた13日、多くの人が避難所生活を送っています。被災者が求めているのは、情報、水、食料、燃料、救援の手…。あらゆるものが足りていません。


地図

若林小体育館

 避難所のひとつ、仙台市若林区の市立若林小学校の体育館。ここには若林地区の住民、約900人が避難しています。

 家族の姿を捜し求め、体育館の壇上から「私の娘のこと、知っている方はいませんか」と大きな声で訴える女性がいました。

 つえと車いすを使って避難してきた江口誠子さん(81)は「私は1人住まい。また地震が来て『助けて』と叫んでも誰も来てくれないので、ここにいた方が安心」と話します。

 江口さんの家は、地震で水道の配管に不具合がおき、トイレが使えなくなりました。プロパンガスも倒れてしまいました。

 「夫の仏壇だけは人に起こしてもらったけど、トイレやガスは専門の人がこないとわからない。いつ直るか」

 同区内のある避難所では「報道の人ですか? 女川町の状況は何か知りませんか」と記者に声をかけてきた女性(57)がいました。

 女性はおでこにばんそうこうを貼り、憔悴(しょうすい)した表情。「女川で養護教諭をしている娘と連絡がとれないんです。おとといからずっと連絡しているんだけど…。妊娠5カ月なんです。今は娘の安否、それだけです」と、悲痛な声をあげました。(矢野昌弘)

七郷中体育館

 13日の仙台市。海の方角を見るとコンビナートの火災による二筋の煙が上がっています。停電で信号機も機能していません。津波から逃れた被害者が多く避難している同市若林区の七郷中学校に向かいました。

 周辺には水浸しになり泥の沼になった地域もあります。ガードレールの上部に泥の帯があります。浸水した水位を示しています。

 男性(70)が立ち入り禁止区域の手前をさまようように歩いていました。建設業を営んでいて所有する車5台すべてが流されたといいます。「仲間の大工が行方不明です。いま捜している。交番で聞いた行政の相談電話は通じないか、話し中だ」

 七郷中の体育館。女性(15)は腕を布でつるしていました。地震で本棚が倒れてきて痛めました。避難所にきた医師に診てもらいました。病院に行っても電気が通っていないためレントゲンをとれないので当面こうしているしかないといいます。「痛いけど頑張ります」とけなげにほほえみました。

 会社員の男性(52)は、「みんな、よくしてくれるけど物が足りないから。朝のおにぎりも全員に行き渡らなくて…」と話しました。

 避難所のかべに安否を訪ねる伝言板がありました。「おばあちゃん。高柳の家にきて、ガス、水、ご飯大丈夫です。心配しています」(柴田善太)





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