2011年3月11日(金)「しんぶん赤旗」

子ども手当どうなる?

Q&Aで考える


 国会に提出されている子ども手当法案がどうなるのか関心が集まっています。4月からの子ども手当はどうなるの? 児童手当に戻ったらどんな被害が出るの? 政党のとるべき態度は? Q&Aで考えます。


廃案で子育て世帯大打撃

 Q 子ども手当法案が成立しないとどうなるのですか?

 A 2010年度にはじまった子ども手当は、児童手当に上乗せする形で、中学校修了までの子どもすべてに毎月1人1万3000円を支給するものです。現在の子ども手当法は10年度、1年限りの法律であるため、今年の3月末で期限が切れ、失効することになります。

 民主党は今国会に1年限りの新しい子ども手当法案を提出しています。新たな法案は3歳未満の子どもについては7000円を増額して、月2万円に、3歳以上の子どもは1万3000円に据え置くという中身です。この内容には、野党がそれぞれの立場から反対しているため、法案が成立するメドがたっていません。日本共産党は廃案ではなく、修正して成立させるべきだという立場を表明してきました。

 新しい法案が3月末までに成立しないと、子ども手当の根拠となる法律がなくなり、児童手当が復活することになります。

 そうなると、中学生の子どもがいる家庭はゼロに、その他の家庭も大幅な減額となります(図参照)。また、児童手当には所得制限があるため、手当をまったく支給されない家庭もでてきます。

 民主党は10年度の子ども手当の財源にあてるために、所得税と住民税の年少扶養控除(16歳未満)を廃止しました。所得税は11年1月から、住民税は12年6月から増税がかかってきます。

 子ども手当法案が廃案になれば、子育て世帯には大きな打撃となります。

図

共産党の修正案の中身は

 Q 日本共産党の修正案の中身は?

 A 日本は、欧州諸国に比べて、子育て世代への現金給付など、家族関係の支出が極端に低くなっています。日本共産党は、現金給付の拡充とともに、保育所増設など子育ての土台の整備をすすめるという総合的な子育て支援策の拡充が喫緊の課題だと考えています。

 その立場から、四つの柱からなる修正案を示しました。

 その内容は、第一に単年度の時限立法ではなく、国民が信頼できる安定的で恒久的な制度にすることです。手当の額は当面、現状の月額1万3000円とします。

 第二は、現金給付だけでなく、待機児解消のための保育所増設などを「車の両輪」としてバランスをとりながらすすめるために、3歳未満の子ども手当の上積み分の財源2000億円は保育所設置など総合的な子育て支援策に回します。

 第三は、子ども手当を支給する際に、学校給食費や保育料などの天引きはやめることです。これは、手当の趣旨からいっても不当ですし、個々の世帯の事情に行政が配慮することが大事だからです。

 第四は、実質的な手取り額が減少しないようにすることです。すでに実施している年少扶養控除廃止の見直しなど必要な措置をとることが必要です。

「つなぎ法案」は例外措置

  民主党が提出しようとしている「つなぎ法案」とは、どんなものですか?

  民主党は3月末までに新しい子ども法案の成立メドがたっていないとして、「つなぎ法案」で対応する意向を表明しています。

 具体的には、3月末に期限が切れる現行法を一定期間延長する法案です。予算案や関連法案の審議が事実上、不可能になったときの緊急・例外の措置としてとられてきました。

 民主党の岡田克也幹事長は9日、子ども手当法案についても、「6カ月の『つなぎ法案』を来週早々に出したい」と述べました。

 日本共産党は、まずは年度内に法案を修正して、成立をはかるよう努力すべきだと主張しています。そのために与党が修正案を検討し、協議をつくすことが必要です。

 「つなぎ法案」については、提出された時点で検討するとしています。

図

子育て世代を助ける

  子ども手当法案に賛成すれば、「自民党化」した民主党政権を助けることにならないの?

  日本共産党は、外交・内政の基本問題で、民主党政権に真正面から対決し、政治の中身を変える論戦を展開しています。予算案本体も、大企業・大資産家には減税をばらまく一方、社会保障は切り捨てる中身だときびしく批判。抜本的な予算組み替え案を示しました。

 しかし、子ども手当法案の場合、政府が今国会に提出している法案が成立せずに廃案になると、子ども手当を受けてきた子育て世帯に大きな打撃となります。日本共産党の市田忠義書記局長は、民主党の岡田幹事長との会談で、「民主党政権に対決する姿勢は今後も変わらない。しかし、実際に子育て世代に大きな被害を与える問題については、被害が起こらないように考えなければならない」(9日)と指摘し、修正案を提示しました。

 ですから、法案を修正したうえで成立させることは、民主党政権ではなく、子育て世代を助けるものです。

 これに対し自・公両党などはどうでしょうか。政府・与党との子ども手当法案の修正協議について、「子どもの教育は第一に家庭の責任。子ども手当にはその理念が欠けている。廃止すべきだ」(自民党・中曽根弘文参院議員会長)、「児童手当の拡充が基本路線だ。理念が違う。いまの法律の体系のままでは(協議には)乗れない」(公明党・白浜一良参院会長)などの態度をとっています。





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