2011年3月2日(水)「しんぶん赤旗」

独裁の被害者に補償

フィリピン、財源はマルコス資産


 【ハノイ=面川誠】フィリピンのマルコス独裁政権(1965〜86年)による弾圧の被害者への補償が2月28日に始まりました。財源はマルコス元大統領が米国に残した資産。4月初めまでに7526人に1人当たり1000ドル(約8万2000円)の補償金が手渡されます。

 フィリピン各メディアによると、マニラ首都圏サンフアン市で28日、被害者12人が記者会見。マルコス政権下で投獄経験を持つ弁護士のサギサグ氏は、「金額より大事なことは、この補償金が独裁者や人権を侵害したものには逃げ場がないというメッセージになっていることだ」と述べました。

 補償金を受け取る7526人は、誘拐や拷問、性的暴力を受けた被害者と、殺害されたり行方不明となっている人々の遺族。米国内でマルコス資産の返還を求める集団訴訟を起こし、1995年にホノルル連邦地裁が、約20億ドルの資産を被害者への補償に充てるべきだとの判決を出していました。

 原告団の米国人弁護士スウィフト氏は記者会見で、フィリピン政府がマルコス資産の所有権を主張したことが、補償の早期実現の障害となったと指摘。「25年は長すぎる。アキノ大統領は最終的な解決に乗り出してほしい」と求めました。

 アキノ大統領の母のコラソン・アキノ氏は86年の大統領選挙でマルコス氏に対抗して立候補。選挙後に同氏を亡命に追いやった民衆行動「ピープルズ・パワー」の象徴的人物でした。

 フィリピン国会には現在、政府による補償のために複数の法案が上程されているといいます。

 1人当たりの国民総所得でみるとフィリピンは日本のほぼ25分の1です。





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