2011年3月1日(火)「しんぶん赤旗」

“国の責任免れない”

薬害イレッサ協議早く

原告団 厚労相・製薬会社に


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(写真)細川律夫厚労相への申し入れ書を提出する薬害イレッサ訴訟原告団・弁護団=28日、東京・霞が関の厚生労働省

 薬害イレッサ訴訟原告団・弁護団は28日、細川律夫厚労相とアストラゼネカ社(大阪市)に対して早期全面解決を求めて申し入れ書を提出しました。2月25日の大阪地裁判決は輸入販売元のアストラゼネカ社への賠償は認めたものの、国への請求は棄却しました。

 申し入れ書は厚労相に対し「国も、薬害イレッサ事件で未曽有の被害をもたらした社会的な責任は到底免れない」として、原告団・弁護団との協議を求めています。

 アストラゼネカ社に対しては「裁判所の指摘を謙虚に受け止め、不当な争いは終わりにすべきだ」と早期全面解決を求めています。

 近澤昭雄・全国原告団代表らは申し入れに先立ち東京・霞が関の厚労省前で「819人の命を無にしないよう早く協議のテーブルについて再発防止を実行してほしい」と訴えました。

 近澤さんは「国の認めた薬で被害にあいました。信じて使ったのに国には責任がないというのでは医薬品の根幹にかかわることです」と大阪地裁の判決を批判しました。

 支援に駆けつけた薬害肝炎訴訟の女性原告は「国の責任を認めなかったのは不公平です。製薬企業を監督するのが国の責任で、判決に真摯(しんし)に向き合い協議の席に着くべきです」と訴えました。


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(写真)本社前でビラを配る薬害イレッサ訴訟原告・弁護団と支援者=28日、大阪市北区

全面救済を

アストラゼネカ大阪・本社前行動

 大阪地裁でアストラゼネカ社の責任を認める判決が出た薬害イレッサ訴訟で、原告・弁護団と支援者らは28日、大阪市北区の本社前で、製薬企業として社会的責任を果たすことを求め宣伝行動を行いました。

 雨が強く降る中、薬害イレッサ西日本弁護団長の中島晃弁護士は「アストラゼネカは、間質性肺炎という副作用があることが明らかになっていたにもかかわらず警告が不十分なままイレッサを販売しました。裁判では会社に賠償命令を出しましたが、国の責任を免罪しました。被害者の全面救済をはかるよう求めます」と訴えました。

 マイクで訴えた大阪医療労働組合連合会の吉村得王彦書記長は「イレッサの副作用で死亡した人は800人を超えています。国の責任で、全面解決をすべきです」と話しました。

 ビラを受け取った兵庫県に住む女性は「国も責任を取るべきだと思う」と言いました。





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