2011年3月1日(火)「しんぶん赤旗」
非正規労働者の就職支援法案
全労働が提言
2008年秋の「派遣切り」などをきっかけに、仕事や住宅を失った人への支援として、政府が実施している「第2のセーフティーネット」を恒久的な制度として発足させる法案(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法案)が国会に提出され、改善の必要性が指摘されています。
政府は2009年7月から、雇用保険受給資格のない求職者が無料で職業訓練を受講できる「基金訓練」と、訓練受講中に月10万〜12万円の生活費を支給する「訓練・生活支援給付金」を開始。今回提出された法案は2011年度末までの緊急対策として発足したこれらの制度を、恒久的な制度とすることを目的にしたものです。
政府の法案提出に先立って、両制度の運用を担うハローワーク職員らで構成する全労働省労働組合(全労働)は、「求職者支援制度の創設に関する提言」を発表しています。
提言では、雇用保険がなく、公共職業訓練の対象外とされた人が、訓練を受けられるようになったことを評価する一方、現行制度の問題点を指摘しています。(1)基金訓練で、民間機関が奨励金を受け取り実施することから、都市部では供給過剰となる一方、地方では訓練が不足するという地域格差がある(2)一部事業者がもうけ優先で訓練を実施し、訓練の質、内容が問われる例がある(3)訓練受講と給付金支給がセットになっているため、訓練への意欲が低くても、給付金の受給を目的に受講し、訓練の成果があがりにくい―などです。
全労働の河村直樹副委員長は、「法案は、現行制度を基本的に踏襲したもので、これらの問題点は改善されていない」として、(1)行政が地域の雇用情勢をふまえて訓練計画をたてる(2)行政機関が事業者の訓練内容や質を審査し、訓練の質を確保する(3)生活支援と訓練受講を切り離し、生活困窮者には生活支援策を講じることが必要。そのために生活保護を十全に実施し、生活保護基準を上回るものの、収入が途絶えた困窮者には、住宅手当制度や総合支援資金貸付制度を拡充する―などの改善が必要だとしています。
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