2011年2月27日(日)「しんぶん赤旗」

自・民接待 社に損害

株主 第一生命社長提訴を請求


 第一生命(東京都千代田区)の渡辺光一郎社長による自民・民主両党の国会議員などへの政界工作が同社に損害を与えたとして、33歳の会社員の株主が同社にたいして、渡辺社長を相手取り訴訟を起こすように求めていることが、26日までにわかりました。

 この株主は、代理人の阪口徳雄弁護士らを通じて25日に「責任追及等の訴え提起請求書」を同社の監査役あてに送付しました。請求書が届いて60日以内に同社が訴訟を起こさなかった場合は、会社法にもとづき株主自身が原告となり株主代表訴訟を行うことができます。

 請求書では、保険金不払いが問題になっていた2007年に渡辺常務(当時)は、金融庁に穏便に対処してもらうよう、国会議員らに働きかけていたと指摘しています。

 とくに第一生命は、生保各社の中でも「不払い問題の実態とその隠ぺいが金融庁に発見され、他社より厳しい行政処分を受ける恐れがあった」とされています。そのため、渡辺氏らは自民党議員を中心にパーティー券を購入したり料亭などで接待したりしました。

 さらに渡辺氏は、09年8月の総選挙で自民・民主両党を中心に28人の候補者応援のために17都道府県を選挙行脚していました(本紙1月4日付既報)。

 こうした渡辺氏の政界工作について請求書は「取締役の任務を放棄し善管注意義務に違反する」と指摘。会社が受けた損害4700万円の賠償など、渡辺氏の責任を追及するよう同社監査役らに求めています。

 渡辺氏は、業界団体の生命保険協会の会長でもあります。

 株主の話「行政処分を軽くしてもらうために工作するという行為は、社会の一員たる企業として許されない行為です。しかるべき処分を受け入れ、社会に有益な会社になるべきところを、このような形で工作し、改善のチャンスを逸したことは重大と考えています」


 株主代表訴訟 会社と株主の利益のために、会社に代わって役員の責任を追及できる制度です。会社法847条で、株主(保有期間が6カ月以上)は、その株式会社に、訴訟を起こすよう請求できます。60日を超えても会社側が行わない場合は、請求した株主自身が訴訟を提起できます。

 善管注意義務 会社の取締役など、立場や社会的責任から見て、当然期待できる注意義務のこと。





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