2011年2月24日(木)「しんぶん赤旗」

主張

リビア政府

国民への武力弾圧はやめよ


 北アフリカの国リビアで、40年以上にわたって支配を続けてきた最高指導者ムアマル・カダフィ大佐が、民主化や政権打倒を求める国民にたいして、首都トリポリなど各地で戦闘機や武装ヘリ、重火器までつかった大規模な弾圧をおこなっています。すでに多数の死傷者が出ています。

 日本共産党は、政治変革を求める自国民に対するこのような残虐な殺りく行為を強く非難します。リビア政府にたいし、国民への武力行使を直ちに中止するよう求めるものです。

強権政治を拒否

 チュニジアでベンアリ政権崩壊をもたらしたアラブ諸国民の運動は、エジプトでムバラク政権の退陣を実現し、今も各国で続けられています。

 その要求は、若者の失業や食料品などの物価上昇への抗議から、国の民主化、そして、国民の尊厳の回復を求めるものとなっています。

 運動は、若者を中心にインターネットなどの新しい通信手段を活用した平和的なものであり、野党勢力や労働組合なども加わる大きな広がりを見せています。

 リビアを含めアラブ21カ国と1機構でつくるアラブ連盟も22日、「自由、民主的改革、発展、正義を求めるアラブ人民の願望は正当なものであり、尊重されなければならない」との声明を発表しています。

 リビアでのデモは、深刻な住宅難にたいする抗議などを背景にしつつ、議会や政党を否定した「直接民主主義」など、カダフィ氏の特異な思想に基づく強権政治への国民の拒否が根本にあります。

 しかしカダフィ氏は22日、国営テレビで反政府デモを「外国の陰謀」などとのべて、「国家の権威に対するいかなる力の行使にも死刑を宣告する」と武力弾圧を正当化しました。

 これより先に同氏の次男セイフ・イスラム氏もテレビで、「酔漢や麻薬中毒者のしわざ」などとのべました。

 国を守るためなら軍を含むあらゆる手段を用いるとのべ、国民の要求にまともに向き合おうとしていません。

 現在、政権内部でも、公安相など閣僚が、武力弾圧に抗議して辞任したほか、在外の外交官の辞任は、米、英、インド、中国、国連、アラブ連盟などに広がっています。

 軍の一部もカダフィ氏に反旗をひるがえし、国民に対する爆撃命令を拒否するパイロットも出ています。

 国際社会もこの野蛮な殺りくを強く非難しています。

国際社会の批判

 国連事務総長は20日の段階で「武力の不行使」を求め、安保理事会の22日の新聞発表は「市民に対する暴力と武力行使を糾弾し、平和的なデモに対する弾圧を非難」しました。

 欧州連合(EU)は21日、武力行使の即時中止を求める声明を発表しています。

 アラブ連盟は、「リビア当局が国民の要求にこたえ、その安全と安定を保障するまで」、アラブ連盟の会議への参加資格を停止するとの決定を下しました。

 カダフィ政権は、この国際社会の批判に耳を傾け、直ちに武力弾圧を停止するべきです。





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