2011年2月22日(火)「しんぶん赤旗」

中東・北アフリカ 民主主義求めうねり

バーレーン シーア派差別に反対

リビア 個人権力支配にノー


 【カイロ=伴安弘】チュニジアとエジプトに続いて中東・北アフリカの多くの国で自由と民主主義を求める激しい闘争が起きています。現在焦点となっているのは、反政府デモが首都に拡大し、銃撃戦が起こっているリビアと、政権側が野党勢力との対話に踏み出したバーレーンです。

 リビアでは41年間、最高指導者カダフィ大佐の個人権力支配が続いてきました。1977年に導入された「ジャマヒリヤ」(大衆の国家)とは、数千の「人民委員会」が権力をもつというものですが、実際には議会制が否定され、「直接民主主義」の名によるカダフィ氏の独裁体制が敷かれました。

 同国には憲法が存在せず、カダフィ大佐の政治、社会についての考え方を記した「緑の書」が最高法規となっています。

 独裁体制に反対する人たちには激しい弾圧が加えられ、国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウオッチなどが批判してきました。拷問や行方不明なども報告されています。

 民主化を求めて立ち上がった人たちへの激しい弾圧は、この独裁体制の実態を改めて示しました。

 一方、バーレーンではイスラム教スンニ派の王制が、人口の7割を占めるシーア派住民への締め付けを強めてきたといわれます。王制と政府はシーア派住民の力をそぐために外国からスンニ派の人を集め、仕事を与えてきました。

 反政府デモ参加者らはシーア派として受けてきた差別に反対し、住宅供給や行政機関への就職機会の拡大など、正当な要求を掲げ、そのための政治的権利を主張しています。

 81年にシーア派国家であるイランが支援したクーデター未遂事件があったことも王制側の不安の背景にあります。一方、バーレーンの隣国サウジアラビアも、中東での影響力拡大を図るイランの脅威を感じ、バーレーンでの事態の行方に神経をとがらせています。

 一方、同国に中東戦略を支える第5艦隊の司令部を置いている米国はデモ隊への暴力を非難すると同時に、「バーレーンは友人であり、同盟国だ」(クリントン米国務長官)とし、イラン封じ込めの戦略からバーレーン政権の弱体化に懸念を深めています。

 こうした見方に対し、英BBC放送の中東論説委員ジェレミー・ボーエン氏は「これまで民主主義や人権を誇ってきた諸国が非民主的な体制を支えてきた」と指摘。「しかし今、西側諸国は新しい中東と向き合おうとしている」と述べ、従来の「外交的な偽善」を批判しています。





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