2011年2月21日(月)「しんぶん赤旗」

ベトナムが住宅開発計画

低所得者向け補助強化

価格高騰 家一軒が給料24年分


 ベトナム建設省はこのほど、2020年までの住宅開発計画をまとめました。住宅価格の高騰に対応して、低所得者向けの補助を充実させます。災害多発地帯の住民や少数民族の生活環境向上にも寄与するとしています。(ハノイ=面川誠 写真も)


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(写真)狭い敷地に立つ細長い建物が密集するハノイ市内

 グエン・チャン・ナム建設次官は現地紙とのインタビューで、政府の低所得者向け住宅建設が需要に追いついていないことを認めた上で、「ベトナムは住宅価格が高い上位20カ国に入る。一方で、1人当たりの所得は120位だ。異常な高価格だ」と指摘しました。

 外資系不動産情報業者の資料によると、ハノイの分譲マンション価格は平均で約16億ドン(約644万円)。グエン・マイン・ハー建設省住宅・不動産市場局長は「給料全額を24年から26年くらいためれば家が一軒買えるという価格」だといいます。

 ベトナムは1986年に国家統制経済からドイモイ(刷新)路線に転換して以来、市場経済化を進め、高い成長率を維持してきました。一方で、インフレと貧富の格差の拡大は深刻な政治課題です。

 1992年に住宅配給制度が廃止された際、賃金の一部として低所得者に住宅補助金を支給する制度が導入されました。賃金の8〜10%で、約5万5000ドン(約221円)です。

 住宅開発計画による住宅補助金支給と土地使用税減免の主な対象は、低所得地域住民、都市低所得者、革命功労者、学生など。国家財政と地方政府、住宅建設業者の拠出金を財源とします。

 低所得者向け住宅建設費も含めると、総費用は約180兆ドン(約7兆2400億円)。国が20%、民間が80%を拠出するとしています。

 労働者の住宅需要は、工業地域だけで2020年に420万戸に達する見通しです。ナム次官は、住宅基金の創設構想も明らかにしています。すべての雇用労働者が毎月、賃金の1〜2%を積み立て、低利住宅ローンの財源にする構想です。

 住宅開発計画は、1人当たりの居住面積を2015年までに21・5平方メートル、20年までに25平方メートルまで広げ、改善するとしています。現在、家族全体で10平方メートル未満の家庭が135万世帯に達するといいます。

 グエン・ダン・ソン都市調査・インフラ開発研究所所長はベトナムプラス紙に「2015年までに住宅補助金を賃金の15%に、20年までに20%に増額する必要があるだろう」と語っています。





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