2011年2月19日(土)「しんぶん赤旗」
沖縄返還
米が6億5000万ドル要求
日本側 「野党への説明苦労」
米政府が1969年10月、「沖縄返還に伴うあらゆる補償債権の推定」として、日本側に6億5000万ドル(当時のレートで約2300億円)の支払いを迫っていたことが、18日公開の外交文書で分かりました。72年の沖縄返還をめぐっては、日米間の密約で日本が返還協定で定めた3億2000万ドルを超える財政負担をしていたことが既に判明しており、その背景に米側の強い要求があったことがうかがえます。
下田武三駐米大使が愛知揆一外相に送った極秘公電によると、米政府高官は同月22日、吉野文六駐米特命全権公使と会い、具体的な「補償債権」の対象について一切説明しないまま、「一括払い」による決着を求めました。「実は昨夜ケネディ財務長官とレアード国防長官との間でこの一括払い(ランプ・サム)の額について合意」したとし、「極秘の含みで」と断った上で6億5000万ドルを要求しました。
これに対し、吉野氏は「沖縄に値札を付けることであり、せっかくの米側の好意も無になってしまう」と指摘。国会で野党から金額の内訳の説明を求められた場合「非常に苦労する」と難色を示しました。しかし、高官は「内訳については日本側希望の数字をどのように処理しようと米側は拒否しないであろうし、米側がその根拠を作り出すために助力してもいい」と受け入れを迫りました。
さらに高官は、69年11月に佐藤栄作首相とニクソン大統領の会談が予定されていることを踏まえ、「もし本件が首相来米までに片付いていない場合、今後の日米関係のあらゆる問題に沖縄の財政問題がつきまとうことになり、日米国交を害すること甚だしい」と、日本側に早期決断を求めました。
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