2011年2月10日(木)「しんぶん赤旗」
新燃岳噴火 半月
観光雇用、救済ぜひ
鹿児島・霧島 「一帯、降灰ないのに」
霧島連山の新燃岳(鹿児島・宮崎両県境)の本格的な噴火から9日で半月。年間100万人が訪れる鹿児島県霧島市のホテルなど観光関連産業は、観光客が激減し深刻な事態にあります。(鹿児島県・村山智)
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市内にあるホテル、旅館などは66軒。霧島岩崎ホテルの黒木博三総務部長(64)は「NHKの大河ドラマ『龍馬伝』の影響で問い合わせも増えやっといまからと思っていた矢先の噴火。1日平均150人のお客様があったのに、韓国からの団体客のキャンセルもあり、昨日は数えるほど。38年間の勤務でこんなことは初めて」と肩を落としました。
キャンセル
「直接の被害は噴火による空振(くうしん)で窓ガラスの破損だけ。しかし大量キャンセルという目に見えない損害が一番痛い。今のままではホテル自体が立ちゆかなくなり、100人を超える従業員がどうなるのか心配している」と話しました。
霧島国際ホテルの村永良徳さん(52)は開口一番「うーん、きびしい」と腕を組みました。
「噴火以降2000人以上のキャンセルが続いている。口蹄(こうてい)疫にやられ、出水の鳥インフルエンザ、年末の大雪と昨年は悪いことばかり続いた。そのうえ噴火で…」
霧島ホテルの梶原敏正副支配人(55)は、「この一帯は降灰もなく温泉もこんこんと湧いておりホテルは平常通り営業しています。安全だと断言できませんが、お客様にぜひ現地を見ていただきたい」といいます。
パート休み
ホテル関係者がそろって心配する一番の問題は雇用です。
梶原さんは、「客は通常の3分の1に減り、従業員90人、パート40人のうち、パートさんには2日から全員休んでもらっています。社員の休業もあり得ます」。同ホテルでは、何とかしたいと、9日、ハローワークなどと相談して緊急雇用助成金の申請を検討しましたが、過去3カ月の売り上げを比較して5%減が条件で2、3カ月後にしか活用できないことが分かりました。
「すぐ県にも緊急の助成の制度がないか問い合わせましたが、いますぐ使える制度はないという返事でした。苦悩し切迫している現場の実情に合わない制度ではだめです」と梶原さんは訴えました。
霧島観光協会の松元義文事務局長は、沈痛な表情で「雇用問題が一番深刻です。県、市、国など行政に緊急の救済策をお願いすることでまとめることになると思う」と語りました。