2011年2月10日(木)「しんぶん赤旗」

エジプト 退陣求め最大デモ

カイロ 経済活動回復


 【カイロ=伴安弘】エジプトで反政府デモが始まって3週間目に入った8日、首都カイロ、アレキサンドリア、マンスーラなど各地でムバラク大統領辞任を要求するデモが行われました。カイロのデモには数十万人が参加し、「これまでで最大」(英BBC放送)となりました。政府は同日、憲法改正を準備する委員会の設置など「平和的権力移譲」のロードマップ(行程表)づくりを発表していますが、大規模デモは政府にさらに譲歩を迫るものとなりました。

 カイロでは学校は再開していませんが、銀行、一般企業、商店が再開され、交通渋滞も含め普段の生活にほぼ戻っています。こうした中で大規模デモが平和的に行われることは、この2週間の変化の大きさを示しています。しかし、スレイマン副大統領は、デモがエジプト経済をまひさせていると非難しています。

 同市中心部のタハリール広場でのデモには、前日に釈放されたインターネット検索最大手グーグル社中東・北アフリカ販売担当責任者のワエル・ゴニム氏も参加。拡声器で「私は英雄ではない。(治安部隊との衝突で)殉教した人たちが英雄だ」と叫びました。インターネット会員制交流サイト「フェースブック」上に、同氏がつくった人権擁護を呼びかけるページは、一連の抗議行動のきっかけとなりました。同氏は1月27日から当局に拘束されていました。

 同氏は8日のテレビインタビューに登場しており、3人の娘を連れデモに初参加した主婦フィフィ・シャウィキさんは、ゴニム氏の話に感動したと語りました。

 参加者の多数は、ムバラク大統領の即時退陣を主張。政府が示す譲歩案について「積極的なステップだ」と評価する意見がある一方、「青年の要求を聞く委員会がないのはなぜか」などの懐疑的な声も聞かれたといいます。

 またカイロでは議会前でも数千人のデモが行われ議会解散を要求しました。

 国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウオッチは同日までに、カイロ、アレキサンドリア、スエズの各地の病院での調査を基に、1月28日以来のデモで297人が死亡したことを確認しました。





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