2011年2月9日(水)「しんぶん赤旗」

介護保険導入10年

高齢期 安心して暮らしたい

新日本婦人の会 抜本見直しへ「私たちの要求」


 介護保険の導入から10年。新日本婦人の会(新婦人、高田公子会長)は8日までに、介護保険制度の抜本的見直しを求める「私たちの要求」をまとめ、国庫負担の増額、低所得者に対する減免制度の創設、利用料の廃止、家族介護者への支援強化などの実現を求めています。

 介護保険制度がスタートしたのは2000年4月。新婦人は09年に「介護をめぐる緊急アンケート」をよびかけ、都道府県本部がまとめた声は2000件を超えます。10年には、県や支部が調査を実施して、実態や要求をつかんできました。

 これらのアンケートから共通して浮かび上がってきた実態は、深刻なものでした。▽重い費用負担が原因で、必要なサービスが受けられない▽認定制度や支給限度額などの制約で、必要なサービスを利用できない▽施設整備の遅れによって、特別養護老人ホームやショートステイなどに入所できない▽依然として介護の負担が家族にのしかかっている▽職員の賃金が安く定着しない。職員不足で十分な介護が受けられない―などです。

 菅内閣は介護保険法の「改正」案を今国会に提出し、12年度からの実施を計画しています。これについても新婦人は、新たな負担増や給付の縮小、認定制度・介護保険財政見直しの先送り、「地域包括ケア」の導入による国の責任の放棄などを指摘しています。


国庫負担50%へ 年金からの天引きやめて…

 高齢期を安心してすごせるようにまとめられた「私たちの要求」は、「介護保険の見直しは、何よりも制度の当事者である利用者・家族が置かれている現実から出発すべきだ」として、次の改善点をあげています。

 ▽国庫負担を当面50%(現行25%)に増やす

 ▽保険料を軽減する。低所得者への減免制度をつくる

 ▽年金から保険料を天引きすることをやめる

 ▽利用料(1割負担)を廃止する

 ▽現行の認定制度を廃止して、ケアマネジャーと利用者とが協議して決める方式とする

 ▽介護度による支給限度額を廃止する

 ▽必要と判断されたサービスは保険から給付する

 ▽特別養護老人ホームを増設して、待機者をなくす

 ▽施設の居住費・食費の自己負担をやめる

 ▽デイサービスやショートステイなどを整備する

 ▽家族介護者への支援を強化する

 ▽介護労働者の処遇改善を早急におこなう。介護報酬を大幅に底上げし、利用料の値上げにつながらない仕組みをつくる

 ▽自治体は高齢者福祉を充実させる

 「私たちの要求」は、制度改善のための財源にも言及し、「消費税を増税しなくても、財源はつくることができる」と指摘しています。





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