2011年2月6日(日)「しんぶん赤旗」

噴火続く新燃岳

“先が見えない”疲労蓄積

宮崎 降灰・日照不足・募る不安


 終息の気配がまったく見えない新燃岳(宮崎・鹿児島両県境、1421メートル)の噴火活動。宮崎県高原町では、避難所生活、際限のない降灰除去などで住民の疲労が蓄積しています。(竹原東吾)


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(写真)避難勧告解除についての日高光浩町長の話を、真剣な表情で聞く避難住民ら=5日、宮崎県高原町

 同町は気象庁や火山噴火予知連絡会などの見解を踏まえ、「最大の危機は脱した」(日高光浩町長)と判断。5日午後5時、避難勧告を発令した地域(513世帯1158人)のうち、一部(火口から8キロ圏内、27世帯73人)を除いて解除しました。ただ、「安全宣言ではない」「引き続き、いつでも避難できる準備を整えてほしい」と警戒を呼びかけています。

 解除直後から住民らは続々と帰宅を開始。6日間、避難所生活を過ごした男性(67)は「90歳のおふくろが37度2分の熱があって、疲れ果てている。早く帰って、寝かせないと」と心配そうな表情。「噴火で、大きな被害が出ないことを願っている」と語りました。

 1月26日から自主的に避難していた女性(82)は、「一人暮らしで不安。早く噴火がおさまってほしい」と話していました。

 同町は降灰による農業被害もまた、深刻になりつつあります。

 35アールの土地でトマトなどの施設栽培を営む男性(60)は、1日1、2回の降灰除去作業に「先が見えない」と、うんざりした様子です。ハウスの上に登り、本来は農薬などを散布するミスト機を使い、積もった灰を吹き飛ばしていました。「ただでさえ、管理や手入れで忙しい時期。とにかく人手不足だ」

 ミスト機はこれまで不要な機具でしたが、今回急きょ購入しました。「(降灰で)日照がぜんぜん足りない。収穫ができるのか、できないのか…」と話していました。


土石流発生確認されず

 新燃岳(1421メートル)は、5日も活発な噴火を続けました。気象庁の観測では、噴煙は同日午前、火口から高さ約2000メートルに達したことが確認されました。

 宮崎地方気象台によると、4日午後11時までの1時間に、新燃岳に近い宮崎県えびの市で0・5ミリの雨が観測されました。降雨により積もった火山灰が土石流になる恐れが指摘されていましたが、同県都城市や高原町によると、土石流発生は確認されていないといいます。

一部地域除き避難勧告解除

宮崎・高原

 新燃岳の噴火で、宮崎県高原町は5日午後5時、同町の513世帯1158人を対象に出していた避難勧告を、一部の地域を除き解除しました。避難勧告解除は6日ぶりで、火山噴火予知連絡会が3日に公表した「危険な火砕流が発生する兆候はない」との見解を受けての措置。

 鹿児島地方気象台は1月26日、噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げ、警戒を呼び掛けました。同町は同月30日夜、火砕流が発生する恐れがあるとして避難勧告を出し、一時612人が町の福祉施設に避難していました。





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