2011年2月6日(日)「しんぶん赤旗」

消費増税へ集中検討会議初会合

自民政治の“亡霊”動き出す

柳沢氏「税率10%では間に合わない」


 5日に初会合を開いた「税・社会保障一体改革」のための「集中検討会議」。消費税増税に向けた菅政権の“司令塔”です。

 同会議の最大の特徴は、与謝野馨経済財政担当相が議長補佐(議長は菅直人首相)として実質的に仕切るとともに、柳沢伯夫元厚生労働相が委員を務めていることです。2人はともに元自民党の“重鎮”で、かねてから二人三脚(与謝野氏)で消費税増税路線をリードしてきました。自民党政治の“亡霊”がよみがえった観があります。

 二人三脚の場は、与謝野氏を会長に、柳沢氏を座長に据えて2005年に創設された自民党の「財政改革研究会」でした。同年10月には「柳沢ペーパー」と呼ばれる中間報告を発表し、「社会保障のための消費税増税」という立場を打ち出しました。

低所得者に負担

 与謝野氏によれば、「消費税率を引き上げる前提として…社会保障の給付に充てる『社会保障目的税化』を初めて正面から打ち出した政府・与党の公式文書」で、「我々と財務省は綿密にすり合わせを行った」(『民主党が日本経済を破壊する』)ものです。

 中間報告は、「現在の世代の受益と現在の世代の負担を確実かつ安定的に対応させるには、広く国民がその消費の額に応じて公平に負担する税である消費税をもって充てるのが最も合理的であり、最も適当である」などと明記。消費税が低所得者ほど負担が重くなるという逆進性をあべこべに描き、増税を迫りました。

 この「目的税化」こそ、本来は国の財政全体で維持・発展すべき社会保障の財源を消費税だけにしぼるために考え出されたもの。社会保障給付を削るか、それとも消費税を増税するかという二者択一を国民に迫る議論につながります。

 同研究会は紆余(うよ)曲折をへて、07年10月、同じく与謝野氏を会長に「第三次財革研」に衣替えしました。同年11月に発表された中間報告は、必要な社会保障費として、「少なくともGDP比5%程度(現行の消費税10%程度に相当)と見込まれる」と具体的に10%に言及しました。

“筋金入り”論者

 与謝野、柳沢両氏が“筋金入り”の消費税増税論者であり、現在はさらに踏み込んだ立場にあることは、最近の発言が示しています。

 柳沢氏は「朝日」4日付で、「今の経済状況ではおそらく10%では間に合わない」「(菅首相に)社会保障と税の一体改革と心中するんだと。そんな迫力が出てくれば、展望が見えてくる」などと述べました。与謝野氏も『サンデー毎日』1月30日号で「いずれ10%は引き上げなければ財政は立ち行かない。段階的な引き上げをお願いすることになる」と、税率15%に言及しました。

 柳沢氏は07年に女性は「産む機械」と発言して厚労相辞任に追い込まれた経歴を持つ人物。今回の同氏起用について菅首相は、「議論の中身を聞いて評価してもらいたい」と開き直りますが、菅政権が担う消費税増税路線が完全に自民党政治の復活であることを如実に物語っています。 (小泉大介)





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