2011年2月5日(土)「しんぶん赤旗」

エジプト 緊迫続く

衝突 全土で死者300人

反政府派 再びデモへ


 【カイロ=伴安弘】反政府デモが起きてから11日目を迎えたエジプトでは、4日、首都カイロなどでムバラク大統領の即時辞任を求めるデモと大統領支持派のデモが同時に行われ、一触即発の状態です。市中心部のタハリール広場には朝から「即時辞任」を要求する人たちが続々と集まり、数万人規模になっています。この周りを軍が警備に当たり、緊迫感に包まれています。

 ムバラク大統領の即時辞任を求める4日のデモを前に、ムスリム同胞団は3日、「明日はインティファーダ(民衆蜂起)の日だ」(報道官)として、デモへの大きな参加を呼びかけました。「即時辞任」を求めるデモのもう一つの中心勢力、エルバラダイ前国際原子力機関(IAEA)事務局長支持派も4日のデモへの参加を呼びかけました。

 一方、大統領支持派といわれる勢力のなかでは、1日夜のムバラク氏の演説で示された憲法改正などの改革で十分だと見ている人が多くなっています。

 カイロ中心部のタハリール広場の反政府デモ参加者への3日の銃撃事件は両者の対立をいっそう深めました。

 シャフィク首相はこの事件が「組織的」なものだったことを認め、謝罪。事件の調査を約束しました。しかし、軍が増強された3日夜にも同広場では衝突が再燃。カイロの他の地域でも衝突が起き、新たに2人が死亡しました。国連は、3日までにエジプト全土で約300人が死亡したとしています。

 一方、スレイマン副大統領は3日、国営テレビで、9月の大統領選挙にはムバラク大統領の息子ガマル氏も立候補しないことを明らかにしました。同時に、被拘束者のなかで「犯罪行為に関わっていない」デモ参加者を釈放し、ムバラク政権が非合法化してきたムスリム同胞団との対話にも応じると表明しました。しかし、同胞団はこの提案を拒否しました。

 スレイマン氏は「(改革を求める)青年らの要求は正当だ」としながらも、ムバラク大統領の即時辞任を改めて拒否。憲法改正などの改革に時間を与えてほしいと述べました。


大統領「すぐ辞めぬ」

米TVと会見

 【ワシントン=小林俊哉】エジプトのムバラク大統領は3日、カイロで米ABCテレビのインタビューに応じ、「もし、きょう辞任すれば、混乱となる」と述べました。

 ムバラク氏が外国メディアの会見に応じるのは、反政府デモ発生後、初めてです。同氏は、即時退陣を否定する一方、流血など事態悪化について、政府には責任はないと釈明しました。

 ABCテレビによると、ムバラク氏は、反政府デモについて、イスラム原理主義勢力のムスリム同胞団が関与していると主張。大統領支持派と反政府デモ隊の衝突について、「非常に残念だ。エジプト人同士がたたかうのは見たくない」などと述べました。

 一方、9月の大統領選不出馬については、「62年間の公職生活でもう飽きた。辞めたい」などと述べました。

 また、オバマ米大統領との電話会談では、「(オバマ氏は)エジプトの文化、そして、もし今、私が退陣したら何が起こるかについて、理解していない」と伝えたと述べました。





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