2011年2月3日(木)「しんぶん赤旗」
ムバラク大統領 不出馬へ
エジプト 親・反両派が衝突
【カイロ=伴安弘】エジプトのホスニ・ムバラク大統領は1日夜(日本時間2日朝)、国営テレビで演説し、今年9月の大統領選挙には立候補しないことを表明しました。これにより、30年近く続いた強権的なムバラク政権に終止符が打たれることになりました。
1月25日から始まった退陣要求の抗議デモは、わずか8日目で政治の民主的改革への可能性を広げる突破口を切り開きました。今回の演説で事態が沈静化するとの見方もありますが、今後の展開には予測しがたいものがあります。
ムバラク氏は「優先課題は、次期大統領選挙を通じた平和的な権限移行の確保」にあるとし、次期大統領選挙には「出馬しない」と表明。同時に「平和的な権限委譲のため残りの任期は全うする」とのべました。
このほか、事態の沈静化と治安の回復を当面の課題とし、議会に憲法改正や政治、社会、経済の改革を進めるよう指示。警察や司法当局にも権利や自由を尊重し、汚職を追及するよう求めたことを明らかにしました。
デモ拡大を受けて遮断されていたインターネットは2日正午、回復しました。
カイロ中心部のタハリール広場にとどまっていた数千人のデモ隊の中には、大統領の即時退陣を求めて、デモを続ける人もいます。軍は、デモ参加者に行動を終えるよう呼び掛けています。
ムバラク氏を支持する数万人も2日、カイロでデモし、タハリール広場に突入。反大統領派と衝突し、双方に負傷者が出ています。
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