2011年1月28日(金)「しんぶん赤旗」

鳥インフル 出水市に衝撃

養鶏も観光も大打撃

「二次感染心配」「売り上げ半減」

鹿児島


 年末のナベヅルの鳥インフルエンザ感染で厳戒態勢にあった全国屈指の養鶏地帯、鹿児島県出水(いずみ)市。26日には養鶏にも感染が確認され、「やっぱりきたか」「卵もブロイラーも出荷できない」と衝撃が走っています。 (鹿児島県・村山智)


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(写真)夜間も車両の消毒をする作業員=26日、鹿児島県出水市

 「26日、保健所がウイルス検査のため20羽から採血した」と語るのは親子8人で約8万羽を飼育する男性(38)。29日に検査結果が発表されます。「すべて結果次第。二次感染となると大変で自分の鶏を守ることで頭がいっぱい」と不安な表情です。

 毎日鶏舎を消毒し、付近の道路に石灰をまき、人の出入りに神経を使いクタクタといいます。採卵農家は卵を売ってなんぼの仕事。移動禁止のため卵は通常の半値となる加工に回す以外ないと肩を落とします。エサ代、人件費を考えると完全な赤字です。

 男性は絞り出すような声で「ツルは毎年来る。北に帰る3月まで厳戒は続く。国には有効なワクチン開発など抜本的な防疫体制を望みたい。せめて経営損失の補償と消毒液の援助が欲しい」と訴えました。

 親子2代の養鶏業、組合員15人で40万羽を飼育する赤鶏(あかどり)農協の田下豊組合長も「食品の風評被害でお客が減るのが心配。赤鶏はヒナから65日で出荷となるが、移動制限区域内の組合員が半数で身動きができない。売り上げが半分に減るのでつなぎ資金がどうしても必要です」と深刻な表情で話しました。

 2009年、出水市ではパイオニア(従業員600人)、NEC(従業員400人)が相次いで撤退。法人市民税、市民税の減収は2億4千万円に及びました。毎年20万人が訪れるツル観光客は年末から展望所が閉鎖され、観光関連産業に大きな打撃を与えました。

 同市の旅館組合長でホテルの代表取締役、茂原真琴さん(61)はいいます。

 「年末にツルの感染が確認されて1カ月。イベントの再開など厳戒態勢の一部解除の話があった矢先のことで大ショック。昨年末から宿泊やパーティーのキャンセルが続いて苦しい状況です。行政には緊急融資などの援助をぜひお願いしたい」

 1市2町の合併後に新設された「鶴の町商工会」の鳥丸敏郎事務局長は「養鶏会員6人、菓子屋6軒、飲食店43軒は卵も鶏肉も新たな確保が必要。冷え込んだ消費に追い打ちをかけるような事態に頭を抱えている状態です。現金収入が途絶えるので金融対策の支援を行政にお願いしたい」と訴えていました。





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