2011年1月23日(日)「しんぶん赤旗」

H2B打ち上げ成功

補給機「こうのとり2」を分離


 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日午後2時37分、宇宙ステーション補給機「こうのとり2」(HTV2)を搭載したH2Bロケット2号機を、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げました。

 こうのとり2は全長約10メートル、直径4・4メートルの円筒形で、観光バスが収まるほどの大きさの無人補給機。国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の食料や飲料水、衣類などの補給物資、宇宙実験の装置など、計約5・3トンの物資を運びます。

 ロケットは正常に飛行。こうのとり2は打ち上げ約15分後に分離され、地球の高度200キロ〜300キロメートルの楕円(だえん)軌道に入ったことが確認されました。

 今後約5日間かけて、高度350キロ〜460キロメートルを飛行する宇宙ステーションへ自力で接近。直下10メートルに停止し、宇宙ステーションからロボットアームを操作して結合されます。

 係留期間は最大で60日間を予定。補給物資を搬出した後、宇宙ステーションで不要になったゴミを積み込みます。3月末までに、宇宙ステーションを離脱し、大気圏に突入して燃え尽きる予定です。

 こうのとりは、年間1回程度打ち上げる計画。09年に打ち上げた1号機は技術実証が目的で、今回から本格運用を開始します。

 打ち上げ後の記者会見で虎野吉彦プロジェクトマネジャーは「すこぶる順調だ」と述べました。


解説

宇宙輸送の重責担う

 国際宇宙ステーションとの往復に使われている現役の有人宇宙船は、米国の「スペースシャトル」とロシアの「ソユーズ」です。宇宙飛行士が滞在するための生活必需品や実験装置などの物資の補給は、長い間、大型貨物室を備えたスペースシャトルとロシアの無人補給機「プログレス」が担ってきました。

 しかし、約14トンという最大の補給能力を誇るスペースシャトルは今年中にも引退する予定です。米国は商用輸送機を開発中ですが、補給能力は2〜3トン程度。またプログレスの補給能力は2・5トンと小さいため、欧州が開発した「ATV」(補給能力7・5トン)と、日本が開発した「こうのとり」(同6トン)が、新たな輸送手段として重要な役割を担います。

 プログレスやATVと比較して、こうのとりは、宇宙ステーション船内への物資搬出入の出入り口が大きいこと、船外用の物資を運べることが特徴です。こうのとり2は、技術実証が目的だった1号機を改良した、初の運用機です。今後、運用技術の確実な蓄積が求められます。

 一方、現在の無人補給機には、宇宙ステーションで行った実験試料などを地上に回収する機能がありません。スペースシャトル引退後は、ソユーズ宇宙船による少量の回収のみになります。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、将来の有人宇宙船を視野に入れつつ、小型カプセルや回収機を搭載する新型補給機(HTV―R)の検討も進めています。 (中村秀生)

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