2011年1月19日(水)「しんぶん赤旗」

英のイラク戦争検証作業

首相は助言無視した

当時の法務長官が証言

議会説明「開戦に追加決議いらぬ」


 【ロンドン=小玉純一】英国のイラク戦争参戦を検証する調査委員会は17日、2001年から07年まで法務長官を務めたゴールドスミス氏の書面による証言を公開しました。同氏はイラク戦争開戦前の03年1月、ブレア首相にイラクへの武力行使を正当化するには国連安保理の追加決議が必要だと助言。ブレア首相がこれを無視し、「必要でない状況がある」と議会で説明していたことが、浮き彫りになりました。調査委は21日に公聴会で、昨年1月に続き、ブレア氏の喚問を行う予定です。

 法務長官の助言は、02年11月採択の国連安保理決議1441が、イラクへの武力行使を正当化するかどうかに関わるもの。ブレア首相は03年1月15日に下院で、武力行使正当化のためには、追加の安保理決議の採択が「望ましい」とする一方、「不合理な拒否権が行使される」場合には、追加決議は「必要とせず」、武力行使が正当化されるとしました。

 他方、ゴールドスミス氏の書面証言によると、同氏は03年1月14日に、「追加の決議に拒否権が行使されれば、安保理は(イラクへの)武力行使を正当化しないこととなる」とブレア首相に助言。同氏の助言とブレア発言は大きく矛盾しています。

 ゴールドスミス氏は、調査委が書面で「首相の発言はあなたの助言と両立するか」と尋ねたのに対して「ノー」と答え、「不愉快だった」、「私の懸念をストロー法相(当時)に話した」と述べています。

 調査委は17日、ゴールドスミス氏の書面証言のほか、マニング元首相補佐官(外交担当)ら5人の非公開審問の記録などの諸文書を公表。18日には、公聴会を再開し、2月4日まで関係者12人を喚問する予定です。





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