2011年1月19日(水)「しんぶん赤旗」

証人喚問なぜできぬ

国会説明に背向ける 小沢氏

政倫審いまだ固執 首相と民主


 近く政治資金規正法違反事件で強制起訴される見通しの小沢一郎民主党元代表について、菅直人首相や岡田克也幹事長ら民主党執行部は、相変わらず衆院政治倫理審査会(政倫審)への招致に固執しています。しかし、出席に強制力もなく、ウソの証言をしても偽証罪に問われない政倫審で、はたして小沢氏に説明責任を果たさせることができるのか―。

 菅首相は年頭会見(4日)で、「政治とカネ」問題で「今年をけじめをしっかりつける年にしたい」と述べ、小沢氏に国会での説明を要求。岡田幹事長は17日の記者会見で、小沢氏が通常国会開会前に政倫審で「自ら説明されることを期待」すると述べ、応じなければ今週中に政倫審で招致を議決するとしました。

 ところが、その小沢氏は前日(16日)の民放テレビ番組で、「なんで出席しなければならないのか」と国会開会前の出席を拒否。また、2011年度予算案成立前の出席にも応じない姿勢を示したばかりか、「原則として司法の場で説明し明らかにしていくのが筋道だ」などといろんな条件をつけ、政倫審出席を拒否する構えをみせています。

 日本共産党など野党側は、出席させる強制力を伴い、偽証罪などが適用される証人喚問の実施を求めていますが、民主党は拒否しています。

 政倫審への小沢氏招致に固執する菅首相と民主党執行部の対応は、国会での説明責任を果たしたくない小沢氏の立場を事実上擁護することになっています。

 小沢氏は、検察の不起訴を根拠に「なにも不正なことをしていないし、やましいことはない」と繰り返しています。しかし、不起訴の理由は「嫌疑不十分」にすぎず、「無実」の証明ではありません。実際、自身が代表を務める資金管理団体「陸山会」に21億円を超える政治資金収支報告書への虚偽記載が発覚し、土地購入資金4億円の出所も不明朗です。

 このため、小沢氏と民主党政権の姿勢には、いまだに厳しい世論の批判があります。直近の各紙の世論調査をみても、小沢氏は自身の疑惑について「国会で説明すべきだ」は81%(「読売」)にのぼり、この問題をめぐる菅首相の対応を「評価する」はわずか27%で、「評価しない」が62%(「朝日」)に達しています。“出るか出ないか”で争っている菅首相、民主党執行部と小沢氏の“対決”は、疑惑の真相解明につながらず、国民世論に反するものです。

 民主党内からは、小沢氏が起訴されたら離党や議員辞職を求めるべきだという声も出ていますが、それで幕引きを図ることは許されません。同氏に説明責任を果たさせることこそ、政党の責任です。

 小沢氏は先のテレビ番組で「自民党中心の古い体制」を「変革しなくてはならない」と声を張り上げました。そうであるならば、堂々と証人喚問に応じて、数々の“灰色政治家”をかばいつづけた自民党政治に終止符を打つことこそ筋というものです。

 (林信誠)





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