2010年12月27日(月)「しんぶん赤旗」

日航整理解雇 世界から非難

国際運輸労連(147カ国644組合)も各国の労組も

労働者との連帯を/空の安全脅かすな


 日本航空が強行しているパイロットと客室乗務員計202人への整理解雇に対し、国際的な批判が広がっています。世界各国に国際線を相互に乗り入れる航空会社は、ひとたび事故となれば、協力して対応する関係にあり、労働者も強い連帯意識をもっています。

 交通運輸産業の労働組合の世界的組織である国際運輸労連(ITF、147カ国644組合440万人以上加盟)は、本部ホームページ(英語)のトップニュース(26日時点)で、「ITFは、日航の客室乗務員との連帯を呼びかける」と伝えています。

 記事では、希望退職によって756人が退職し、当初目標の660人を超え、解雇は必要なく、解雇基準が国際労働基準や日本の国内法に反していると指摘。日航キャビンクルーユニオン(CCU)が、年齢差別と組合差別だと訴えていることを伝えています。

 ITF加盟組合などに対し、日航と日本政府への抗議文、CCUへの激励メッセージを送るよう呼びかけています。

 12月17日付ニュースでは、客室乗務員を激励する院内集会を写真付きで紹介。解雇対象者に空白スケジュールを配った退職強要の実態、管財人の企業再生支援機構がストライキ権を確立したら出資しないと脅した問題、パイロットもまた退職への圧力を受けていることなどを詳しく解説しています。

年齢と組合理由 選別解雇に衝撃

 日航が加盟する国際的航空グループ「ワンワールド」の各国労組が、CCUへの支援を行っています。

 ITFの発表によると、アメリカン航空(米国)、ブリティッシュ・エアウェイズ(英国)、カンタス航空(オーストラリア)、ロイヤルヨルダン航空(ヨルダン)、ラン航空(チリ)、キャセイパシフィック航空(香港)、フィンランド航空(フィンランド)の労組が、日航への共同抗議文に署名しています。

 各国労組は、年齢と組合活動を理由に選別解雇されることに衝撃を受けています。希望退職者が会社の当初目標を十分に上回っているとの報告を聞き、これ以上の人員削減の必要性に疑問を呈し、日航が解雇計画を取り消すことを呼びかけています。

日本政府に対し調停を働きかけ

 世界100カ国以上、10万人以上のパイロットが加入する国際定期航空操縦士協会連合会(IFALPA)は日本政府に仲裁を要請。ベテランの整理解雇は年齢差別であり、規程による病欠を解雇基準とするのは航空の安全を脅かすと強調しています。

 国際労働機関(ILO)も、日航乗員組合とCCUの要請を受け、日本政府に対し調停に動き出しています。(田代正則)


米国労組からの連帯メッセージ

 米国の交通運輸産業の労働組合である国際機械工・航空宇宙産業労働組合(IAM)から、航空労組連絡会の近村一也議長宛てに連帯メッセージが届いています。内容は次のとおり。

 親愛なる近村議長

 世界最大の航空運輸労働組合であるIAM60万人の組合員を代表し、日本航空に働くすべての従業員諸兄姉に連帯のメッセージをここに送るものであります。

 わが組合は日本航空経営者による組合つぶしを含む、反組合的ないかなる行為も厳しく非難するものであります。さらにわが組合は、日本国政府諸機関にあっては航空労働者を保護すべく介助されるよう要請します。

 われわれIAMは航空労組連絡会の諸兄姉とともに立ち上がり、全面的に支持することをここに表明するものであります。

 連帯の意をこめて

 運輸担当副会長 ロバート・ローチJr





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