2010年12月26日(日)「しんぶん赤旗」

財源は消費税 公明「福祉社会ビジョン」

「注目に値」と菅政権 “自民党化”は深刻


 菅政権は、公明党が次期衆院選マニフェスト(政権公約)づくりに向けて18日発表した「新しい福祉社会ビジョン」中間取りまとめを高評価し、来年の通常国会対策へ布石を打ち始めています。

 菅直人首相は20日、公明ビジョンを「民主党と共通性が非常に大きい」と評価。民主党の岡田克也幹事長も同日、同ビジョンで「消費税を含む税制の抜本改革を行う」としている点が「注目に値する」と述べました。

事実上の秋波

 公明ビジョンは、付け焼き刃のように「『雇用』こそ福祉の原点」と唱え、「法人税の引き下げ」と与野党の「社会保障協議会」(仮称)の設置を求めるなど、菅首相から「共通性」発言を引き出す文言を随所にちりばめています。公明党も事実上、民主党政権に秋波を送っています。

 同ビジョンは、自公政権で厚労相を務めた坂口力副代表が中心になって作成したもの。自公政権時代の社会保障削減路線が残した「傷跡」への反省がないのが特徴です。

「雇用」を破壊

 公明党は、医療・年金・介護・福祉制度改悪で、重い窓口負担による深刻な受診抑制を引き起こし、診療報酬の連続削減で医療崩壊といわれる現状をもたらしました。にもかかわらず、同ビジョンでは「GDP(国内総生産)に占める医療費は先進国に比べて低い水準に留まり、効率的な医療が評価されています」と誇っています。

 また、「『雇用』こそ福祉の原点」といいながら、自公政権で「成長戦略」と称して労働法制の規制緩和を進めて「使い捨て」労働を増やしたことへの反省が欠落しています。公明党は派遣労働者の正社員化について「派遣は一時的需要調整であり、常用雇用を求めるのは、制度矛盾」(古屋範子衆院議員)と反対しており、雇用と福祉をないがしろにしてきたのが実情です。

 同ビジョンは「消費税の使途は、社会保障などに限定」としています。しかしそれは、消費税導入時や税率3%から5%に引き上げるときに繰り返されたごまかしの言葉です。低所得者ほど負担が重い逆進性を持つ消費税を「新しい福祉社会」の財源にすえるところに公明ビジョンの本質が出ています。これらを評価する民主党政権の「自民党化」は深刻です。





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