2010年12月26日(日)「しんぶん赤旗」

国立大交付金

民主政権 2年連続減

公約違反「研究、教育危うく」


 2011年度予算案(24日に閣議決定)の文部科学省予算で、国立大学の基盤となる国立大学運営費交付金は、10年度比58億円(0・5%)減額の1兆1528億円とされました。同交付金は04年度の独立行政法人化以降、毎年約1%減、合計830億円がすでに削減されてきており、さらに追い打ちをかける削減です。「削減方針を見直す」とした民主党の政権公約にも反しており、民主党政権下で2年連続の削減になります。

 名古屋大学大学院の中嶋哲彦教授(全国大学高専教職員組合委員長)は、国立大学運営費交付金のさらなる削減について「大学運営の基盤を崩すもの」と批判します。

 さらに中嶋教授は、同交付金の中で、大学を研究大学と教育大学などに機能別に分化させるなどの国策にそった予算を新たに創設しているとし、「そのしわよせで大学を自主的に運営するための基盤的な部分がさらに減らされていると考えられる。地方大学への配分が減らされ、大学間の格差が広がるおそれがある」と指摘します。

 日本の高等教育機関への公的財政支出の対GDP(国内総生産)比は0・5%で、平均1%の経済協力開発機構(OECD)諸国の半分しかなく、OECDでは最低レベルです。

 これまでの交付金削減で各大学は、「教員を30人減らした」「付属学校の体育館の天井が壊れても修理ができない」(東京学芸大)など厳しい運営を強いられています。国立大学協会や日本私立大学団体連合会は、「国の将来を危うくする致命的な施策」との声明を発表し、これ以上の削減をしないよう求めてきました。

 予算編成への国民の意見募集では、同交付金について7万件以上の意見が寄せられ、そのうち97・7%が同交付金にもとづく事業実施を求める意見でした。政府は、この国民の声も大学関係者の声も無視し、11年度予算案で減額としたのです。

 中嶋教授は「このままでは、大学における研究と教育を危うくする。大学が自律的に研究と教育を発展させられる予算の充実が必要だ」と話しました。





■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp