
2010年12月23日(木)「しんぶん赤旗」
米軍ヘリパッド工事強行
防衛局、早朝抜き打ち
沖縄・東村 住民“裁判中なのに”
米軍ヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)建設をめぐり、反対する地元住民を逆に国が訴え裁判となっている沖縄県東村高江(ひがしそん・たかえ)で22日早朝、沖縄防衛局が工事を強行しました。
![]() (写真)物々しい警戒のなか?機材搬入を強行する沖縄防衛局=22日早朝、沖縄県東村高江 |
午前6時ころ、6カ所の建設予定地のうち人家に最も近いN4地区など2カ所にヘルメット姿の沖縄防衛局職員や業者ら数十人が現れ、砂利が入った一つ数十キロの巨大な袋や重機を搬入。金属製のゲートも設置しました。
その間、数十人がスクラムを組んで住民を威圧するという物々しさでした。
午前6時31分。「N4がめちゃくちゃや。N1は暗くて分からへん」―。「ヘリパッドいらない住民の会」事務局の比嘉真人さんは、現場を通りかかった住民の連絡で目を覚ましました。「駆け付けると、何も見えない真っ暗な中で、何十人もがうごめいていました」
地元の伊佐真次さんは「国と住民が係争中なのに建設を強行するとはひどい。真部朗沖縄防衛局長は夜間・深夜の工事はしないと明言していた。不誠実すぎる」と怒ります。
現場を訪れたリンダ・ハーヴェンスタインさん(26)=ドイツ人留学生=は「ここに安保がある。ことばにできないくらいひどい。アメリカより東京の政府に責任があると思う」と語りました。
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「環境問題に関心があり高江を知った」という米原幹太さん(20)=千葉県=は、前日高江入りしたばかり。「やんばる(沖縄本島北部一帯の通称)をじっくり見るつもりだったのに。一方的で人と人との対話がない。国のやることって、どこでもこうなのか」
「対話解決を放棄」
住民の会・弁護団が抗議声明
「ヘリパッドいらない住民の会」と同弁護団は22日、沖縄防衛局が同日早朝に行った工事強行に対し緊急抗議声明を発表しました。
声明は「今回の工事強行は、住民らとの対話を避けて早朝に敢行されたものであって、対話による解決を放棄するもの」と指摘。「裁判所の訴訟指揮には従わずに自らは主張立証を怠った上で、訴訟の進行状況とは全く無関係に工事を強行するというものであって、訴訟手続(き)自体を、住民弾圧の道具として利用しようとするものにほかならない」と批判。厳重に抗議し、不当な訴訟を直ちに取り下げるよう求めています。
![]() (写真)高江ヘリパッド工事の強行について防衛省担当者へ抗議する赤嶺議員=22日、衆院議員会館 |
直ちに中止を 赤嶺議員が防衛省に抗議
ヘリパッド工事が強行されたことに、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は22日、防衛省の担当者を国会に呼び、きびしく抗議するとともに直ちに工事を中止するよう要求しました。
赤嶺議員は、「裁判中に強行するとはひどい。沖縄は本土復帰から新たな基地はつくらせていない。きれいな自然を破壊するものだ。県民は絶対にゆるさない」と抗議。同省担当者は、「準備が整ったので始めた。早急にすすめていきたい」などと強弁しました。
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