2010年12月23日(木)「しんぶん赤旗」

イラク新内閣発足

13のポスト空白 全会派が参加


 【カイロ=伴安弘】イラク連邦議会は21日、イスラム教シーア派、スンニ派、クルド人を代表するすべての会派が参加した国民統一政府を承認しました。米軍の侵攻から7年9カ月、3月7日の総選挙以来9カ月以上。新政府はこれまでの対立の克服と国の再建に向け真価が問われることになります。

 議会はマリキ新首相自身を含む新閣僚を一人ひとり承認しました。外相にはジバリ氏(クルド人)が留任。経済再建のカギを握る石油関連のポストではシャハリスタニ前石油相がエネルギー担当の副首相、ルアイビ前石油副大臣が石油相にそれぞれ昇格しました。また財務相に著名なスンニ派の指導者エサウィ氏が就きました。ただ、内相と国防相は未定で、マリキ首相が内相、国防相、国家安全相を兼務します。

 マリキ首相は42人の全閣僚名簿を20日に明らかにするはずでしたが、対立が克服できず、13のポストを空白にして発表されました。

 議会はまた、外交・治安など戦略的政策にかかわる戦略政策国家会議の設置を承認しました。その議長にはスンニ派を含む会派イラキーヤの党首アラウィ元首相が就任することになっています。ただ、同会議の権限などについてはまだ明確ではありません。

 シーア派勢力に支持されたマリキ首相は議会での閣僚ポスト承認を前に演説。「すべての会派からなるこの政府がイラク市民の願望も、各政治ブロックの願望も、私の願望も満たすものだというつもりはない。特別の状況でつくられたのだから」と述べ、なお、イラクが困難を乗り越えていかなければならない途上にあることを認めました。

 一方、選挙では第1党になったイラキーヤのアラウィ氏は出席議員を前に、「イラキーヤの会派としてわれわれはこの政府を全面的に支持し、積極的、生産的、協力的役割を果たしていく」と述べました。


 イラクの主な政治会派 ▽法治国家連合(89議席)=マリキ首相を党首とし、シーア派が主体 ▽イラク国民同盟(70議席)=以前のシーア派与党連合統一イラク同盟(UIA)の大部分の議員が新たに結成 ▽イラキーヤ(91議席)=世俗主義をかかげスンニ派多数の支持を獲得 ▽クルド同盟(43議席)=クルド民族からなる二つの政党の共同会派。





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