2010年12月22日(水)「しんぶん赤旗」
“歳出減 経済に打撃”
公務員削減より銀行の負担増を
英労組、首相に直言
バーバー英労働組合会議(TUC)書記長ら同国の労組幹部は20日、キャメロン首相と会談し、政府が進める歳出削減策は社会を分断し、経済にも打撃を与えると警告、銀行業界の負担を増やすよう要求しました。ロイター通信が伝えました。
キャメロン政権は、10月に発表した財政再建策で、省庁予算を今後4年間で19%、810億ポンド(約10兆円)削減する緊縮政策を打ち出しました。公共部門で約33万人の人員削減と昇給の凍結、年金保険料の値上げが予測されています。
会談は、キャメロン首相が緊縮政策を進めるため、労組側との緊張関係の緩和をはかろうとしたもの。労組幹部を首相官邸に招いて行われました。
バーバー書記長は会談後、記者団に対し、「歳出削減は社会を分断するもので、経済にとっても危険なものだとのわれわれの断固とした見解を首相に明示した」と言明。また、「今回の危機にわれわれを引き込んだ張本人でありながら、政府から巨額の援助を受けている銀行業界からもっと多くの金を引き出せるよう努力を強めるよう要請した」と強調しました。
最大労組であるユナイトのマクラスキー書記長は、雪による交通の乱れでこの日の会談には参加できませんでした。同氏は英紙ガーディアン(電子版)18日付で、「歳出削減の理由はまったくない」と強調。授業料値上げ反対に立ち上がった学生らの行動を称賛しました。同氏は、他労組と連携してのストの可能性を示唆しています。
TUCは、財政緊縮政策が明らかになった10月にも各地で抗議行動を展開しており、来年3月26日にロンドンで史上最大規模の抗議行動を行うことを明らかにしています。

