2010年12月21日(火)「しんぶん赤旗」

イスラエル

パレスチナ人を迫害

人権団体報告 西岸で住居破壊


 【カイロ=伴安弘】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは19日、イスラエルがパレスチナ・ヨルダン川西岸でユダヤ人入植地を拡大しているだけでなく、パレスチナ住民を差別的に扱っているとする報告書を発表しました。

 パレスチナ住民への差別の一例として報告書は、西岸にあるパレスチナ人の村に電線を引くことや外国の資金による太陽光エネルギー事業を受け入れることを拒否しながら、この村に隣接するユダヤ人入植地にはいずれのサービスも施していることを挙げています。

 報告書はまた、イスラエル管轄地とされた西岸の「C地区」と東エルサレムの実態について分析。両地区への入植活動は違法であるにもかかわらず、入植者が49万人を数え、パレスチナ住民の42万人を上回っていると指摘しています。

 C地区ではパレスチナ人が制限なしに利用できる土地はわずか1%で、その他の土地はどう使うかが入植者にゆだねられ、軍事施設などに使われていることを国連の資料を基に明らかにしています。

 さらに、この13年間にイスラエル政府はC地区で、「違法建築」だとしてパレスチナ人の住居2800戸を破壊、同じ期間に西岸の入植者人口が3倍になったとしています。

 報告書はイスラエルに対し、パレスチナ住民の社会が制限なしに発展できるようにすべきだと要求。同時に米政府に対し、イスラエル政府が入植者支援のために支出した約14億ドル(約1180億円、2003年推定)と同額分の対イスラエル援助を停止するよう求めています。


 C地区 パレスチナ・ヨルダン川西岸のうち、1993年のオスロ合意と95年の暫定自治拡大協定で行政権、警察権がともにイスラエル側にあると決められた地区。西岸の59%を占めます。A地区(同17・2%)は両権限がパレスチナ側にあり、B地区(同23・8%)は行政権がパレスチナ、警察権がイスラエルにあります。





もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp