2010年12月12日(日)「しんぶん赤旗」

京都議定書延長反対に固執

COP16 日本の孤立浮き彫り


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 来年末に南アフリカで開かれるCOP17(国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議)で、京都議定書第1約束期間(2008〜12年)後の13年以降の地球温暖化対策の新たな国際協定(議定書)を採択するための土台を可能な限り固める―メキシコ・カンクンで11月29日から開かれていたCOP16の目的は、ここにありました。

 ところが、京都議定書を採択したCOP3の議長国である日本が会議冒頭で、同議定書の第2約束期間設定にはいかなる条件でも反対との立場を打ち出し、難航する交渉をいっそうの混乱に陥れました。日本の責任は重大です。

◎……◎

 COP16最終日の10日に議長国メキシコが示した最終文書案は、大多数の国の立場を反映して、京都議定書第2約束期間設定を前提としたような記述となっています。COP16で同期間の設定に反対を明確に表明した国は日本以外になく、日本の国際的孤立が浮き彫りになりました。

 “京都議定書に参加する先進国の温室効果ガス排出量は世界の27%にすぎない。すべての主要排出国が参加した単一の枠組みをめざすべきだ”との日本政府の主張について、国内では「正論」だとの見方も流れています。

 しかし、米中間選挙で野党・共和党が前進して温暖化対策法案の採択の可能性が遠のくなど、「すべての主要排出国が参加した単一の枠組み」が速やかにできる現実的可能性はありません。

 このもとで、法的拘束力をもつ、現存する唯一の条約である京都議定書の第2約束期間設定を阻止すれば、温暖化対策の条約は消滅し、「主要排出国が参加した枠組み」は、ますます遠のいてしまいます。

 現にCOP16開催中にも、京都議定書延長阻止を叫ぶ勢力からは、「会議(COP16)の決裂を恐れるべきではない」(進藤孝生新日鉄副社長)、「『主要国参加』という前提条件が存在しないから25%削減という日本の中期目標はなくなった」(山口光恒東大特任教授)との“本音”が聞こえてきました。

 そこには、国際交渉の難航に乗じて、法的拘束力をもった排出削減規制の国際的枠組みをつぶす狙いが露骨に示されています。

 「共通だが差異ある責任」の原則に基づいて先進国の主導性が発揮されない限り、新たな国際協定合意の展望はありません。京都議定書延長阻止という日本の立場を転換させることは、13年以降の世界の野心的な温暖化対策の新たな協定を実現する大きなカギを握る課題となっています。(カンクン=COP16取材団)





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