2010年12月6日(月)「しんぶん赤旗」
クーデター国 排除
イベロアメリカ首脳会議閉幕 民主主義擁護へ確認
【モンテビデオ(ウルグアイ)=菅原啓】アルゼンチンのマルデルプラタで開かれていた第20回イベロアメリカ首脳会議は4日、クーデター発生国を会議の構成国から排除する措置や2015年までの非識字者一掃などへ向け教育面で1000億ドル(約8兆3000億円)を超える巨額の投資を行う方針を確認して閉幕しました。
識字率100%へ8兆円超投資
中南米では、昨年ホンジュラスでクーデターにより暫定政権が成立し、今年9月にはエクアドルでクーデター未遂事件が発生。選挙で選ばれた大統領が進める改革に反対する勢力による民主主義破壊の行動が相次いでいます。
会議は、こうしたクーデターのさらなる発生を防止し、民主主義を擁護する目的から「民主主義条項」と呼ばれる文書を採択。同文書は、イベロアメリカ会議加盟国で「憲法体制や法治国家の破壊」が起こった場合、その国は同会議に参加する権利を失うと規定しています。
イベロアメリカ会議のイグレシアス事務局長は、同会議としてクーデター発生国への対処を決めたのは初めてのことで、「われわれにとっては重要な前進だ」とコメント。会議に出席していた米州機構(OAS)のインスルサ事務総長も「独裁的な試みはすべて孤立することになろう」と語り、決定を歓迎しました。
今回の会議では、各国の教育の促進が主要テーマでした。4日に採択された最終文書「マルデルプラタ宣言」では、地域全体で向こう10年間に教育面での投資を約1000億ドル増額する目標を明記。中南米では3900万人が読み書きのできない状況にあることを直視して、識字化に力を入れ、15年を目標に非識字者の一掃をはかる方針を盛り込んでいます。
イベロアメリカは、スペイン、ポルトガルと両国の植民地だった中南米諸国の計22カ国が参加し、経済問題など各国に共通する課題や国際的な課題を討議します。毎年、首脳会議を開催しています。

