2010年12月6日(月)「しんぶん赤旗」

「政治とカネ」 裏切り重ねる民主党

企業献金・小沢氏招致…

“しがらみ”断ち切る覚悟なし


 民主党が総選挙と参院選のマニフェスト(政権公約)で公約した企業・団体献金禁止と、野党に約束した小沢一郎元代表の国会招致。いずれも「政治とカネ」の問題をめぐる重要な約束です。しかし、いずれも同党は約束破りと裏切りを重ねています。

受け取り再開

 民主党政治改革推進本部の役員会(1日)は、来年の通常国会にも提出する企業・団体献金禁止法案の「骨格」を了承しました。同党は10月、個人献金が増えないことなどを理由に、1月から全面自粛していた公共事業受注企業・団体からの献金受け取りを再開すると発表。これが世論の批判を浴び、同法案策定に動いたのです。

 「禁止」といっても、企業・団体献金をまったく受け取れなくするのは3年後の2014年から。禁止の事実上の先送りです。

 そもそも、企業・団体献金は、法改正を待たずに各政党の判断で受け取りを即刻中止できます。現に日本共産党は一切受け取っていません。それをやらないのは、企業・団体との“しがらみ”を断ち切る覚悟がないからだといわれても仕方がありません。

骨抜きの法案

 禁止法案の「骨格」にはより重大な“骨抜き”があります。政治改革推進本部の長妻昭事務総長は、企業・団体の献金は禁止するものの、「政治団体の献金は禁止していない」と発言。業界団体が「○○政治連盟」などの政治団体を通じて献金するのは容認するというのです。

 「骨格」では、企業・団体献金禁止の見返りに個人献金に対する税額控除を導入。「個人献金が一定程度増えれば、政党助成金の規模も適正なものを考える」(長妻氏)という「検討事項」も了承されました。これでは、個人献金が十分増えなければ、助成金が「適正規模」に増額される可能性もあります。長妻氏は「(助成金の)縮小という意味だ」といいますが、個人献金が増える保証はありません。

 検察審査会の強制起訴議決を受けた小沢氏についてはどうか。民主党の岡田克也幹事長は「小沢氏が何らかの形で国民に説明できるよう環境整備に努力する」(11月2日の与野党書記局長・幹事長会談)と表明していました。しかし、同党は結局、臨時国会中の招致実現の約束を反故(ほご)にしたのです。

組織的な脱法

 昨年の総選挙に先立ち、小沢氏が責任者を務める民主党岩手県第4区総支部から同氏の資金管理団体「陸山会」を経由して、同党の予定候補者計91人に総額約4億5000万円が配られていた問題も浮上しました。これに対し岡田氏は2日の記者会見で、「(小沢氏は)きちんと説明されたほうがいい」としながら、「民主党とは違う話なので、民主党が調査することではない」と述べました。

 しかし、候補者に渡ったカネの流れはきわめて不自然。旧新生党の資金を受け継ぐ政治団体「改革フォーラム21」から、献金額の法定上限額(年間5000万円)を超える3億7000万円を「陸山会」に移す「抜け道」として、総支部を利用したのです。民主党の地方組織が絡む脱法行為であり、同党と無関係ではありません。

問われる姿勢

 新たな疑惑も浮上するなかで、国民が求める事実解明には背を向ける民主党。企業・団体献金禁止公約の“骨抜き”とともに、同党の姿勢があらためて問われています。(林信誠)





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