2010年12月4日(土)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での

市田書記局長のあいさつ


 日本共産党の市田忠義書記局長が3日の党議員団総会でおこなった臨時国会閉会にあたってのあいさつは次のとおりです。


写真

(写真)議員団総会であいさつする市田忠義書記局長=3日、国会内

 閉会団総会にあたって一言ごあいさつを申し上げます。志位委員長がアジア政党国際会議のためにカンボジアにいっておりますので、私が代わってごあいさつを申し上げたいと思います。

 先ほどの参議院本会議で、障害者自立支援法延命法案が、民主、自民、公明、みんなの党などの賛成で強行成立させられました。十分な審議もなく、かつ直接の当事者である障害者団体が強く反対していた法案を、最終日に強行したことに、みなさんとご一緒に満身の怒りを込めて抗議したいと思います。(「そうだ」の声、拍手)

「米国・財界中心」の古い政治と国民利益とのねじれをただす――党議員団はこの課題に挑戦し貴重な成果

 2カ月にわたる国会、本当にご奮闘ご苦労さまでした。国会論戦をはじめ、国民各層の要求実現、あるいは調査活動、沖縄県知事選挙をはじめとする各種選挙戦の応援など、国会議員団のみなさんの日夜を分かたぬご奮闘に心から敬意を表します。

 今国会開会の議員団総会で志位委員長は、「ねじれ国会」といわれるけれども、民主党と自民党との間には、政治の中身では「ねじれ」はないこと、どこがねじれているかといえば、民主党と自民党が共通の土台としている「アメリカ・財界中心」の古い政治と、国民の利益との間にねじれがあること、そしてこのねじれを大本からただすという立場で大いに奮闘しようと強調いたしました。

 私は、わが党国会議員団は、事務局、秘書団のみなさんと力を合わせて、この課題に積極的に挑戦して貴重な成果をあげたことを、まず始めに皆さんとともに確認し合いたいと思います。(拍手)

民主党政権の「自民党返り」明白に――自民も非難合戦で政治的な退廃

内政

 今国会の全体を通じて民主党・菅政権の「自民党返り」ともいうべき様相がいっそう明白になりました。国民に約束した後期高齢者医療制度の廃止は、新たな差別医療制度として改変されようとしています。労働者派遣法の抜本的な改正も見送られました。そのうえ、日本の農林水産業に壊滅的な打撃を与えて、日本の国土と社会そのものを破壊するTPP(環太平洋連携協定)への参加に大きく足を踏み出しました。日米同盟第一で、普天間問題では辺野古への新基地建設の日米合意を推進して、アフガンへの自衛隊派兵までいいだしました。民主党政権が「米国・財界中心」の古い政治の強力な推進者と成り果てたといっても決していいすぎではないと思います。

外交

 今国会は、外交でも重要な出来事が相次ぎ、菅内閣の「外交力」が厳しく問われた国会でもありました。尖閣諸島、千島問題という二つの領土問題では、戦後続いた自民党政治の外交的弱点をそのまま引き継ぐだけで、新たな事態に積極的な対応ができない「外交力」のなさを露呈しました。また、許すことのできない北朝鮮による軍事的挑発行為の解決に向けても、日本としての平和的事態解決のための積極的なイニシアチブを発揮できないでいます。

政治姿勢

 政治姿勢の問題でも、民主党・菅政権は古い政治からの脱却はできないままです。すでに国民的要求ともなっている小沢一郎元民主党代表の国会招致をあくまでも拒否し、国民への公約をも真っ向から破って、企業・団体献金の再開に足を踏み出しました。

 菅内閣が「自民党返り」ともいうべき様相をあらわにすればするほど、政府と自民党などとの国会論戦は不毛なものになっていきました。

 内政でも外交でも政治の中身に違いがない、すなわち、双方とも「米国・財界中心」という二つの異常をただすという立場に立っていないために、国民生活をどうするか、次々と持ち上がってきた外交上の諸課題をどう打開するのかという政治の中身の議論はそっちのけで、もっぱら揚げ足取り的な非難合戦、口汚い悪罵(あくば)と中傷の投げつけ合いという様相を呈しました。一種の政治的退廃現象が起こっている(「そうだ」の声)、そういうべき状況だったと思います。

くらしでも外交でも国の進路とあり方を示した共産党の論戦

 そういう国会のなかで、わが党国会議員団は、審議を通じて政権を追い詰めるという議会政治の大道に立って、切実な国民の要求から出発しつつ、政治の中身をただして、国のすすむべき方向を大きく示すという骨太の論戦を展開してきました。

経済論戦

 たとえば、経済論戦では、国民の所得と雇用が急激に悪化しているその対極に、空前の金余りに潤う一握りの大企業が存在すること、ここに「滞留したお金」を「生きたお金」として還流させてこそ日本経済の閉塞(へいそく)状況が打開できるという根本問題を、本会議、予算委員会、各種委員会の場で、それぞれの議員が多彩な形で提起して奮闘しました。これらの論戦は、「富が広く循環する経済構造を築く必要がある」「最低賃金の引き上げは有効な経済対策になる」というわが党の提起に、菅首相自身が「大変魅力的な提案」だと答えざるをえなかったように、道理ある論戦として、これからも大きな力を発揮することは間違いないと確信します。

TPP問題

 TPP問題での論戦も、「第三の開国」論だとか、「バスに乗り遅れるな」などの推進論のごまかしを暴きながら、農林漁業問題にとどまらない、日本社会のありよう全体にかかわる問題であることを明らかにし、菅内閣のよりどころである日本農業との「両立」論のごまかしを暴露して、まともに答弁できないところまで追い込みました。

領土問題

 尖閣諸島、日ロ領土問題については、国際的な道理と歴史的事実に照らして何が問題かを明らかにして、どのように解決すべきかを明りょうに示したわが党の提起は、他党派の人々も含めて、多くの共感が寄せられました。私たちがこうした到達点に立ち得たのには、わが党の先輩たちがいのちがけで侵略戦争と植民地支配に反対を貫いたという輝かしい歴史があることを、お互いの確信にしたいと思います。(拍手)

就職・雇用

 さらに、新卒者の就職問題、日本航空の整理解雇問題など、国民生活にかかわるあらゆる問題を取り上げて奮闘したことも、「国民の要求のあるところ日本共産党あり」と、その真骨頂を示し、立党の精神を発揮したものでありました。

いっせい地方選躍進へ党議員団が先頭に立とう

 第2回中央委員会総会では、「国民との結びつきを強める」ということを、新しい党発展の方向として提起しましたが、議員団もその立場から大いに奮闘しました。たとえば、党議員団が紹介した請願数は、2カ月ほどの会期でしたが、通常国会での紹介数に匹敵する規模になりました。正確な集計はこれからですが、1300万人を超えるのではないかという状況であります。

 昨日は、能や狂言、オーケストラ、ピアニストあるいは落語等々、多くの実演芸能家で構成されている芸団協のみなさんが、文化予算をせめて今の0・11%から0・5%に引き上げてほしいと、60万人の署名を携えて国会要請を展開され、党国会議員団と「文化、芸能活動を守れ」というエールの交換も行いました。

 簡単にこの2カ月あまりの臨時国会を振り返りましたが、日本共産党国会議員団は、いよいよ、そのかけがえのない値打ちを発揮していると胸を張っていうことができると確信します。

 年末に向けた全党の諸活動の先頭に国会議員団が立って、来年の通常国会、そしてなによりも4カ月後に迫ったいっせい地方選挙、当面は茨城の県議選がもう始まっていますが、日本共産党の大躍進を誓い合い、その先頭に党国会議員団が立つという決意を新たにして、閉会に当たってのごあいさつといたします。本当にご苦労さまでした。(拍手)





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