2010年12月3日(金)「しんぶん赤旗」
欧州安保機構
11年ぶり首脳会議
「核なき世界」宣言提案も
欧米から旧ソ連の中央アジアまで56カ国が加盟する欧州安保協力機構(OSCE)の首脳会議が1日、カザフスタンの首都アスタナで開幕しました。OSCE首脳会議の開催は1999年以来、11年ぶりです。会議では、機能停止に陥っている欧州通常戦力(CFE)制限条約の改定やアフガニスタンへの支援、地域内紛争の予防策などが議題です。
首脳会議では、主催国カザフスタンのナザルバエフ大統領が開会演説で「セミパラチンスク核実験場で苦しんだカザフスタンは、首脳会議で『核なき世界宣言』を採択するよう提案する」と訴えました。
米国のクリントン国務長官は「アフガンの不安定化は中央アジアのみならず、OSCE全体にとって危険だ」と指摘。OSCEがアフガン支援を強めるとともに、域内の紛争にいっそう効果的に対処することを求めました。
ロシアのメドベージェフ大統領は「域内の問題解決に、共通の法的基礎を与える欧州安全保障条約の必要性がますますはっきりしてきた」と語りました。
会議では、旧ソ連諸国間の紛争問題が取り上げられました。グルジアのサーカシビリ大統領はロシアに政治対話を呼びかけるとともに、南オセチア自治州、アブハジア自治共和国の問題はグルジアの内政問題だとして、ロシアが両地域の「独立」を承認していることを批判しました。
欧州安保協力機構(OSCE) 冷戦下の1972年、欧州の安全保障を協議する国際機関として旧ソ連・東欧諸国と米国・西欧諸国の双方が加盟して発足。75年の首脳会議で、国境不可侵や経済・科学分野の協力、人的交流などをうたった「ヘルシンキ宣言」を採択しました。ソ連崩壊後は、地域紛争防止、民主主義の構築・強化、基本的人権の保障などの活動をしています。欧州諸国、旧ソ連諸国、米、カナダの56カ国が加盟。
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