2010年12月3日(金)「しんぶん赤旗」

主張

小沢氏証人喚問

先送りは民主の無責任さ示す


 政治資金規正法違反で3人の元秘書が逮捕され、自らも強制起訴が確定的になっている小沢一郎民主党元代表の証人喚問など国会招致が実行されないまま、臨時国会が幕を閉じようとしています。

 当然おこなうべき国民への説明責任を果たさない小沢氏には、議員としての資格さえ問われます。同時に、与野党の書記局長・幹事長会談で、「小沢氏が何らかの形で国民に説明できるよう、環境整備に努力する」と表明しながら、それさえ実行していない民主党・岡田克也幹事長の責任も重大です。国会招致の先送りは、まさに民主党の無責任ぶりを示す事態です。

国会議員としての責任

 政治資金規正法違反事件が表面化していらい、小沢氏は1回も国会で説明したことはありません。「政治とカネ」などの問題で国民に疑惑がもたれた場合、自ら説明するというのが選挙で選ばれた国会議員の責任であり、小沢氏が「潔白」などといって国会での説明を逃れようとするのは、絶対に許されないことです。

 しかも民主党は、党としても小沢氏の疑惑を調査し、説明責任を求めるのが当然なのに、この2年近くそれさえ果たしてきませんでした。それどころか菅直人首相は代表就任直後、小沢氏が幹事長を退いたことを理由に、小沢氏の責任を“不問”にしようとさえしました。国会議員としての責任が党の役職を退いたことで消えてなくならないのは明白です。

 参院選での敗北後、幹事長に就任した岡田氏が「何らかの形」で小沢氏に説明させるといわなければならなかったのは当然であり、民主党はその約束を誠実に果たすよう求められます。たとえ小沢氏が抵抗しても、証人喚問を国会で議決すれば拒否できません。「環境整備に努力する」という岡田氏の発言が本当なら、民主党は証人喚問の議決に賛成すべきです。

 自らの資金管理団体「陸山会」の名義で巨額の土地取引を行いながら、その資金の流れをごまかした小沢氏の政治資金規正法違反事件が、秘書だけの起訴で本人に責任がないなどといえないのは明らかです。実際、東京地検は小沢氏を「起訴猶予」としましたが、市民が参加する検察審査会は2回にわたって小沢氏を「起訴相当」とし、強制起訴に向けた手続きが進められています。

 小沢氏は検察審査会の決定に異議を唱えましたが、高裁でも最高裁でも仮処分は認められず、ついに自ら行政訴訟の訴えを取り下げています。検事役の弁護士はすでに決まっており、小沢氏は年内にも起訴される見通しです。国会で小沢氏が疑惑の解明と政治的道義的責任の追及をうけるのは、いよいよ待ったなしの状況です。

いっそう深まる疑惑

 政治資金をめぐる小沢氏の疑惑は、収支報告書を偽った問題にとどまりません。巨額の土地取引の資金について「政治資金」だ「自らの蓄え」だと説明を二転三転させただけでなく、公共事業受注企業からの裏献金などを元手にした疑いもあります。直近の収支報告書では迂回(うかい)献金や談合で処分された建設会社から献金を受け取っていた疑惑も明らかになりました。

 証人喚問は証言拒否やウソの証言に対しては、刑事罰も科すことができます。小沢氏の証人喚問は、真相の解明にとって不可欠です。





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