2010年12月1日(水)「しんぶん赤旗」

自立支援法

「延命」案を断念し基本合意の尊重を


 会期末を迎えた国会で障害者自立支援法の「延命」法案の成立を許さないたたかいが焦点になっています。

 同法案は衆院で民主、自民、公明などの賛成多数で可決され、参院厚生労働委員会にかけられています。国会周辺では連日、障害者団体が廃案を求めて行動しています。

 旧自公政権が強行した障害者自立支援法は、サービス利用料の1割を負担させる「応益負担」を盛り込んだもので、障害者はじめ国民の強い批判をあび、民主党は同法の「廃止」を公約して政権に就きました。鳩山政権は、自立支援法を「憲法違反」と提訴した原告と1月に基本合意を交わし、「人間としての尊厳を深く傷つけた」と反省の意を表明。政府内に障害者が参加する障がい者制度改革推進本部を設置し、新しい法律の検討をすすめてきました。ところが、その結論も出ないうちに、旧与党が立案した自立支援法改定案にわずかばかりの修正を加えただけで出してきたのです。

 障害者団体は「私たち抜きに私たちのことを決めないで」と声をあげています。

言葉を言い換え

 改定案には発達障害を障害の対象に含めることを明確にするなど障害者の願いを反映した部分もあります。最大の問題点は、基本合意では2013年8月までに自立支援法廃止を約束しているのに「廃止」が明記されず、自立支援法を「延命」する余地を残していることです。

 同法案について違憲訴訟全国弁護団事務局長の藤岡毅弁護士は「『応益負担』という仕組みを残したまま軽減措置部分を『応能負担』と言葉だけ言い換えた」だけで、「根本的な見直しとなっていない」と批判しています。(本紙11月22日付)

「一元化」危惧も

 また、障害児施設の偏在解消を理由に、知的障害・肢体不自由、難聴幼児など障害別で設置している施設を、どのような障害でも利用できる施設とすることが盛り込まれており、人員配置基準が異なる施設の「一元化」に危惧する声もあがっています。

 切実な願いである低所得者の医療サービスの無料化についてもふれていません。

 日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は、11月17日の厚生労働委員会で、「旧与党の枠組みを広げながら生まれる新しい法律が期待した内容とは大きく違うものにならざるをえない」と指摘。法案提出を断念して、基本合意と障害者の意見を尊重するよう求めました。(前野哲朗)





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