2010年11月28日(日)「しんぶん赤旗」

南米諸国連合首脳会議

民主主義議定書を採択

クーデター発生国への制裁など


 【メキシコ市=菅原啓】南米諸国連合(UNASUR)は26日、ガイアナの首都ジョージタウンで第4回首脳会議を開き、クーデターなどで正当性のない政権が設立された場合、他の加盟国が厳しい制裁措置を科すことなどを定めた「民主主義議定書」を採択しました。


 同議定書は、今年9月末にエクアドルで発生したクーデター未遂事件の直後、アルゼンチンで開かれた臨時首脳会議で制定の必要性が提起されていました。クーデター発生国に対しては、貿易の制限、国境封鎖、エネルギー供給の停止などの制裁措置を実施することを明記しています。

 中南米地域でのクーデターにたいする対応措置は、米州機構(OAS)などでも定められていますが、今回決められた対応策は、即応性と制裁内容の厳しさにおいて前例のないものです。アルゼンチン紙パヒナ12は26日付で、この点に注目、「民主主義を擁護するUNASURの盾」ができたと報じています。

 エクアドルのコレア大統領は閉会後の記者会見で、議定書の内容を改めて説明し、クーデターを企図するものは今後、「地域で完全に孤立する事態に直面することを覚悟することになろう」と語りました。

 2002年にクーデター未遂事件を経験したベネズエラのチャベス大統領は、議定書は「この地域にとってひきつづき脅威となっているクーデターや不安定化の動きに対抗し、民主主義を支援するものだ」と指摘。加盟12カ国がさまざまな意見の違いを乗り越えて、最終的に合意に達したことの意義を強調しました。

 会議では、事務総長を務めてきたキルチネル元アルゼンチン大統領の死去に伴い、その後任人事も議題となりました。複数の候補者の名が挙がりましたが、全体の合意には至らず結論は次回以降の会議に先送りされました。

 UNASURは議長国について任期1年の交代制をとっており、今回の会議を機に、議長国はエクアドルからガイアナに交代することが確認されました。


 南米諸国連合(UNASUR) 2008年5月、ブラジルの首都ブラジリアでの南米12カ国の首脳会議で設立条約が採択され、発足しました。加盟国間の政治的対話の強化、南米統合の促進、地域貧困の撲滅、識字運動などが目的。04年に創設された南米共同体が前身です。

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