2010年11月26日(金)「しんぶん赤旗」

介護保険 社保審意見書

負担増・給付減 委員からも批判

国費増やす公約どこへ


 厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会が25日にとりまとめた意見書は、介護保険料(65歳以上)が2012年度に平均で月5千円を超すのが嫌ならば利用者への負担増・給付減が避けられないと、高齢者を脅す内容です。

困難と切り捨て

 同部会の議論では、負担増・給付減の全項目が委員から強い批判を受けました。

 「軽度者と生活援助の給付除外は、国民との約束を反故(ほご)にするもの」(全国老人クラブ連合会・斉藤秀樹事務局長)、「(ケアプラン作成を有料化したら)必要な時に必要な介護サービス等の利用ができなくなる」(日本介護支援専門員協会・木村隆次会長)、「『介護の社会化』の理念に立ち返るべきだ」(認知症の人と家族の会・勝田登志子副代表理事)

 民主党政権は、これらの声に真剣に耳を傾けるべきです。

 しかし、多数の委員が切実に求めていた、介護保険財政に占める公費負担割合の5割から6割への引き上げは、「困難」と切り捨てました。

 民主党は昨年の総選挙で「生活第一」「医療・介護の再生」を掲げ、介護保険への国費投入を「8000億円程度」増やすと公約して政権に就いた経緯があります。これは公費負担を6割に引き上げるのに必要な費用(厚労省試算で7400億円)を上回る額です。

 それなのに国費を増やさず高齢者の生活に負担を押し付けるのでは、国民への約束の核心部分を投げ捨てる裏切りです。

 商業紙では消費税増税論議の停滞に財源不足の原因を求め、増税へのレールを敷こうと狙う論調が目立ちます。しかし低所得者に負担の重い最悪の不公平税制である消費税を増税するのでは、弱い者いじめに何ら変わりありません。

 国民生活を圧迫する政治がまかり通れば、経済が冷え込み、国の財政はますます悪化します。悪循環を加速させるだけです。

財源はつくれる

 財務省は大企業優遇税制を縮減すれば4・5兆円の財源が生まれると試算しています。

 大企業がもうけをあげれば、それが国民生活にしたたり落ちるというのは、いまやまったく成り立ちません。

 大企業・大資産家への過大な減税や軍事費の浪費にメスを入れて社会保障を拡充し、ヨーロッパ諸国と比べて著しく弱い所得再分配機能を強化することこそ、日本社会に明るい展望を開く改革です。(杉本恒如)





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