2010年11月26日(金)「しんぶん赤旗」

介護保険 「要支援」を対象外に

社保審部会意見書 利用料倍増も検討


 厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は25日、2012年度の介護保険制度改定に向けた意見書をとりまとめました。公費負担引き上げの道を否定し、このままでは介護保険料が平均で月5千円を超えるとして「給付の効率化・重点化」を行うことを「基本的考え方とすべきである」と明記。利用者の大幅負担増や軽度者の保険給付外しの方向を打ち出しました。


 意見書は委員から出された強い反対意見を項目ごとに併記しているものの、高齢者に保険料アップか給付削減かの選択を迫る形です。厚生労働省は意見書をもとに法案を作成し来年の通常国会に提出する意向を示しました。

 意見書は、要支援1・2の人について、市町村の判断で生活援助を含め、まるごと介護保険の給付対象から外し、市町村独自の配食サービスなどに置き換えることができる仕組みの検討を求めました。

 軽度者と一定の所得(年間200万円以上を想定)がある高齢者の利用料(現在は費用の1割)については「例えば2割」への引き上げを「検討すべきである」との意見を示しました。

 その他、▽介護保険サービス利用の前提となるケアプラン作成の有料化▽施設入所者の居住費を軽減する給付(補足給付)の要件に資産や家族の負担能力を追加▽施設の相部屋の居住費負担増▽介護療養病床を廃止する方針の継続―などを盛り込みました。

 介護労働者の賃上げのために11年度末までの時限措置として全額国費で実施されている処遇改善交付金は、「国の財政が厳しい」などの理由をあげ、事業所への介護報酬引き上げで代替する方向を示しました。国費の削減と利用料・保険料アップにつながります。


 「要支援」 介護保険サービスを利用するための要介護認定を受けると、非該当(保険給付の対象外)、要支援1・2、要介護1〜5にランク分けされます。寝たきりなどで介護を必要とする人が「要介護」、日常生活に支援を必要とする人が「要支援」とされます。





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