2010年11月20日(土)「しんぶん赤旗」

日航「整理解雇」

まやかしの「稼動ベース」

削減目標は二転三転


 日本航空が、客室乗務員を「整理解雇」する口実にしているのが「稼動ベース」というまやかしです。

 日本航空は希望退職が目標を下回ったとして、パイロット110人、客室乗務員90人、休職者50人の合計250人を「整理解雇」すると15日に発表しました。

 ところが、客室乗務員は人員削減目標660人に対し、733人の希望退職応募者があり、73人も超過達成しています。

 パイロットや地上職もあわせた削減目標1500人も、全体ではるかに上回っており、これ以上解雇の必要はありません。

 日航は「稼動ベース」で目標を下回っているといいます。これは、休職中の人は「0人」、育児・介護中で部分就労の人は「0・5人」などと、応募者数を実際より低く見積もるものです。

 部分就労で働いている女性(50)は、「賃金は45%ですが、乗務は通常の7割近くなのに、なぜ、『0・5人』なのか分かりません」と話します。

 もともと日航は、「更生計画案」に基づき、客室乗務員の削減目標を570人としてきました。ところが、10月の希望退職募集から、660人に引き上げました。

 同時に「稼動ベース」を持ち出し、その削減目標も610人や606人に二転三転します。日航は、日航キャビンクルーユニオン(CCU)との団体交渉でも「稼動ベース」の根拠や具体的な計算方法を明らかにしません。

 日本共産党の穀田恵二衆院議員の追及(12日)にたいし、企業再生支援機構の河本茂行常務取締役は、「稼動ベース」について、更生計画案で「明示しておりません」とのべ、恣意(しい)的なものだということが判明しています。

 「整理解雇」は、労働者の人生を左右する切実な問題なだけに、「整理解雇の4要件」((1)人員削減がどうしても必要である(2)希望退職や一時帰休など解雇回避努力がつくされた(3)解雇者の選定基準、人選が客観的、合理的である(4)解雇手続きが妥当である)を満たす必要があります。

 日航は、退職させたい客室乗務員を「自宅待機」にし続けています。更生計画案を上回る退職者がありながら、特定の労働者に狙いをつけて、無理やり解雇するやり方は、およそ4要件を満たしているといえません。





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