2010年11月3日(水)「しんぶん赤旗」

TPP緊迫(環太平洋連携協定)

“食・地域つぶすな”農漁民立つ


 外国からの輸入品にかける関税を原則100%撤廃して貿易自由化をめざすTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加を表明した菅政権にたいし、農業団体などは「国民、消費者への食料安定供給をはじめ環境や国土保全を危機に落とし入れる」として反対する世論と運動を強めています。


JA全中が10日緊急集会

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(写真)「TPP参加反対」「地域農業を守れ」と声をあげる農業関係者=1日、長野県松本市

 JA(農業協同組合)グループは、各地で緊急集会を計画中です。長野(1日)に続いて、JA山形中央会が8日に決起集会を開きます。

 東京では、10日(水)に、JA全中(全国農業協同組合中央会)やJF全漁連(全国漁業協同組合連合会)などが、「TPP交渉に反対し日本の食を守る緊急全国集会」(実行委員会)を東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で開きます。午前10時半から集会を開き、国会まで請願デモをおこないます。

 福岡では、前日の9日、200人規模の「TPP交渉に反対する福岡県代表者緊急集会」を福岡市内で開き、全国集会に約50人が参加します。

 緊急全国集会の開催要領は、TPP交渉に参加すれば「農林水産業の崩壊を招き、関連産業を含む地域経済が大打撃を被るのは必至」と指摘。「TPP交渉は単に物品の関税撤廃にとどまらず、金融、保険、医療などあらゆる分野に関するわが国の仕組みの変更につながるもの」「国民合意を得る議論もせず遺憾」と批判しています。

 集会には、生産者団体のほか、生協など消費者団体の参加が予定され、全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)と農民連(農民運動全国連合会)も参加をすることが決まりました。

 農民連の全国活動者会議が2日、東京都内で開かれ、笹渡義夫事務局長は「全中との集会は初めてで画期的」とのべ、「プラカードやのぼり旗を用意し、集会成功のためここ一番の力を発揮したい」と話しました。

9日に閣議決定へ

 政府は2日午前、国会内で「経済連携に関する関係閣僚会議」を開き、経済連携協定(EPA)締結推進と「農業改革推進本部」を設置する方針を確認しました。9日の閣議決定を目指す「経済連携の基本方針」に盛り込む見通しです。

 1日に開いた財界3団体の緊急集会では、日本経団連の米倉弘昌会長が「EPA交渉に弾みをつける試金石」と、政府に交渉参加へ圧力をかけました。財界・大企業の強い要望を受け、菅内閣は、13日から横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の場で交渉参加を表明することを目指しています。

 閣議後の記者会見では、鹿野道彦農林水産相が「農業改革推進本部の設置は副大臣会議で共通認識とされており、基本方針に盛り込まれると認識している」と明言。ただ、「TPPとセットとは思っていない」とも述べました。

 一方、民主党は2日、常任幹事会を開き、TPPへの加盟問題について議論しましたが、農業分野を含む関税撤廃への異論が相次ぎ、政府が5日に予定している方針決定までの党内意見集約は困難だとの意見が続出しました。席上、玄葉光一郎政調会長(国家戦略担当相)は、「期限を決めて、なにがなんでも決めるつもりはない」と発言。政府方針決定の先送りの可能性も示唆しました。





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