2010年10月28日(木)「しんぶん赤旗」
民主・企業献金解禁
「全面禁止」の重大な転換
政党助成金依存にも無反省
民主党の岡田克也幹事長は、自粛していた企業・団体献金の受け入れを再開する方針を示しました(26日)。岡田氏が示した方針は、公共事業の受注額が1億円未満の企業からの献金“自粛”を解禁するというもの。民主党が公約してきた企業・団体献金の禁止路線からの重大な転換にほかなりません。
今回の企業献金解禁の方針は、日本経団連からは歓迎される一方、党内からは「まったくの寝耳に水」「企業献金容認に転ずるなら、小沢氏への批判は説得力を欠くことになる」という声もあがります。菅直人首相が掲げた「クリーンな民主党」の看板を自ら否定するものでもあります。
民主党は、2009年の総選挙マニフェストで、企業・団体献金の全面禁止を掲げ、「当面の措置」として、「国や自治体と1件1億円以上の契約関係にある企業等の政治献金・パーティー券購入を禁止」としていました。今年に入って、1億円未満の受注企業からの献金も自粛していました。岡田氏が代表を務めていた04、05年のマニフェストでは「公共事業受注企業からの政治献金を全面禁止」とし、その理由を「税金の還流であり、政官業の癒着の温床になっている」としていました。
“自粛を破るだけで公約には反しない”という「言い訳」もあるようですが、全面禁止の方向性に立っての自粛だったのですから、路線転換は明らかです。公約を裏切る企業献金再開は、改めて国民の深い不信を呼び起こすものです。
同党幹事長室は、26日の岡田氏の記者会見終了後しばらくして、「補足説明資料」を報道各社に提示。「政治活動資金の幅広い調達をめざして、党内で個人献金促進のための税制改正についての論議が始まったことにかんがみ、さらに現在、党財政が過度に国庫負担に依存している状況もふまえて」、献金再開に踏み切ったと「説明」しました。
しかし、党の財政が過度の政党助成金依存の体質になっているというなら、政党助成金の制度自体の見直しを進めるべきです。幅広い個人献金が進まないことは、民主党が草の根の基盤を持たない政党であることを「自認」するものであり、そこを自ら打開する、反省や努力方向を明確にすることこそ求められます。
それらの問題に正面から取り組まず、わいろ性を持つ企業・団体献金に頼るというのは、民主主義に対する感覚の欠如と、国民に基盤を置くのでなく、財界に基盤を置く政党への「転換」を示すものです。(中祖寅一)