2010年10月27日(水)「しんぶん赤旗」

北海道、TPPで経済損失2兆円

道が試算 17万人雇用失う


 北海道は25日、菅直人政権が交渉参加の意向を示している環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加した場合の道内への影響をまとめ、地域経済全体に2兆1254億円もの損失を与えるとする試算を発表しました。

 TPPは、原則関税撤廃で例外を認めない協定です。加盟・参加交渉している国は現在9カ国です。農産物輸出大国である米国、オーストラリア、ニュージーランドも含まれています。試算は、TPPに日本が参加した場合、3カ国と競合する米、小麦、テンサイ、でんぷん、酪農、肉用牛、豚の7品目を対象にして、関税が撤廃された影響を2008年度の産出額をもとに行ったものです。

 北海道は国内でも規模拡大が進んでいる農業地帯です。この地域ですら農業産出額への影響は大きく、08年度の道内農業産出額の54%に当たる5563億円も減少。壊滅的な打撃になることが分かりました。農家戸数は3万3000戸減少します。

 関連産業への影響も深刻です。乳業、製糖業、精米業などを含めた関連産業全体の損失額は5215億円に上ります。地域経済への影響は9859億円の損失が見込まれています。雇用問題が深刻な中、道内全体では17万3000人の雇用が失われるとしています。

 関連産業と地域経済への損失額は、農業損失額の約3倍近くにも達し、住民生活全体に悪影響が広がることが改めて示されました。北海道農政部も「道内の多くの市町村で壊滅的な影響が出ることを危惧している」としています。


 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP) アジア太平洋経済協力会議(APEC)21カ国・地域の中で、原則100%関税撤廃の貿易自由化を含む経済連携を目指す協定。2006年にシンガポールなど4カ国で発効し、米国やオーストラリアなど4カ国、さらに今年10月に入ってマレーシアが加わって現在9カ国で交渉が進んでいます。

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