2010年10月26日(火)「しんぶん赤旗」
小沢氏と談合組織の接点
元業務担当らが証言
指示断り玄関払い 選挙では厳しい動員 本命外し恐れ献金
民主党の小沢一郎元代表をめぐる疑惑で、同氏とのかかわりが指摘される東北地方の公共事業の談合組織について、元メンバーだったゼネコン幹部など複数の関係者が本紙に証言しました。証言からは、談合組織の存在と小沢氏との接点が浮かび上がってきます。(矢野 昌弘)
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準大手ゼネコンの東北支店で談合の窓口となる「業務担当」だった人物は、「小沢さんの世話で岩手の公共工事をとったことがあった。小沢事務所からは『ここを下請けに使え』と言われたが、それを断ってから、ウチは玄関払いを受けるようになった」と、現役当時を振り返ります。
“談合あった”
東北地方での談合システムについて、元業務担当は「談合システムはたしかにあった。僕が現役の時も政治的なやりとりは相当あって、(1993年の)ゼネコン汚職のころは自民党から『寄付しろ』といった話はしょっちゅうだった」と認めます。
宮城県政界の有力者も「仙台では昭和30年代から、業者間での受注調整が機能してきた」といいます。
そのシステムについて、元業務担当は「例えば指名競争入札で100件を10社で分け合うとする。A社が10件受注すると、ほかの9社に10件ずつ“借り”をつくることになる。“借り”を平等に返しあう関係だった」といいます。
これ自体が問題ですが、しだいに政治家の介入が強まったといいます。
東北地方の談合組織では、大手ゼネコン鹿島が仕切り役とされています。元業務担当は「鹿島東北支店の副支店長が(談合組織の)東建協会長になってから、鹿島支配が進むようになった。経験豊富な副支店長が業者間でトラブルの仲介役を買ってでるようになって、自然と仕切り役になった」といいます。
東建協は93年のゼネコン汚職の摘発を契機に解散しました。
宮城県政界の有力者は「東建協が解散した後、副支店長の後任の業務担当が、宮城一政会につなげていった」といいます。
ゼネコン各社が
「宮城一政会」とは、1996年に設立された小沢氏の関連政治団体です。会員には、ゼネコン各社の業務担当の名が多く連なっているとされます。
有力者は「公共事業が縮小し、政治家による口利きシステムの崩壊が相次いだ。その中でも維持していたのが宮城一政会。企業側は談合で決めても、小沢事務所から本命外しを受ける恐れがあった。だからいろんな工夫をして献金を集めていた」といいます。
元業務担当は「小沢事務所の意向に背いてから、関係修復に苦労した。一方で小沢さんの秘書には選挙の応援で、厳しく使われた」といいます。
中堅ゼネコン「水谷建設」から小沢氏側に計1億円がわたったとされる疑惑。元業務担当は「下請けとはいえ、献金して額の大きいダム工事の仕事を全部もらえるなら、ありえる」と指摘します。