2010年10月24日(日)「しんぶん赤旗」

豪雨被害の奄美・龍郷

“何も運び出せなかった”


 記録的な豪雨に見舞われた鹿児島県奄美大島で20日夕に濁流が堤防を破壊し、波を打ちながら道路のアスファルトをはがすほどの勢いで人家を襲った大島郡龍郷(たつごう)町中戸口集落。通行止めが解除された23日、7割以上の72世帯が床上浸水の被害を受けた同集落と死者1人を出した同町浦集落に入りました。(鹿児島県・村山智)


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(写真)堤防が崩壊した戸口川=23日、大島郡龍郷町

 胸の高さまで水浸しになった室内は畳や家具が無残な姿で散乱、異臭が鼻をつきます。泥まみれのタンス、冷蔵庫などが小雨にぬれ道路いっぱいに並んでいます。多くのボランティアたちが廃棄処分の家財道具をトラックに積み込むなど復旧作業に追われていました。

 「あっという間に濁流が押し寄せた。逃げるのが精いっぱいだった」「何も運び出せなかった」…。被災者の共通した声です。

 70代の女性は「夜中にがけ崩れと濁流が襲い胸までつかりながら公民館、学校の体育館、理科室と3カ所も逃げ回った」と語りました。

 戸口小学校勤務の男性(36)は「これだけの大災害で1人のけがもなかったのは奇跡です。4人の児童の教科書、学習用品が流されました」と手を休めて話しました。

 自宅が床上までつかった26歳の女性は「水の恐怖で自分がどうしたらいいかも分からない。これからの見通しが立たない」と何も手に着かない様子でした。

 集落の区長をしている60代の男性は「床上浸水の被災者は家に帰っても寝るところがない。避難所生活も限界が来る」と言い残しゴミを運ぶトラックの荷台に乗り込みました。

 裏山のがけが崩れ、自宅が倒壊し女性1人が犠牲となった同町浦集落。「立ち入り禁止」のロープを過ぎると高さ30メートルの山に斜めに大きな亀裂が入り樹木ごと崩落、赤土がむき出しになっています。坂道を上った現場は水が噴き出し、半壊し傾いた家の横には直径3メートルの大きな岩が転がっていました。「知り合いのお年寄りの無事を確認に来た」と話す50代の男性は、「土砂で家が10メートル以上流されている」と語り、立ちつくしていました。

 日本共産党の崎田信正、三島照両市議はこの日も被災地の奄美市住用(すみよう)町、龍郷町を調査。被災者を激励しました。党奄美地区委員会は市民に救援金などの支援を呼びかけました。





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