2010年10月23日(土)「しんぶん赤旗」

NPT再検討会議の具体化

中東非核地帯へ議論

イスラエルに核放棄要求

カイロで開催


 【カイロ=伴安弘】今年5月に開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議が採択した「最終文書」の具体化などを論議する国際フォーラムが19〜21日、エジプトの首都カイロで開かれました。「核のない世界」や中東非核地帯をどう実現するかなどを中心に、白熱した論議がなされました。


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(写真)カイロで開かれた核問題の国際フォーラム=19日(伴安弘撮影)

 ヨルダンのアンマンにある非政府組織(NGO)「アラブ安全保障問題研究所」が主催したこのフォーラムには、イスラム諸国会議機構(OIC)、北大西洋条約機構(NATO)、ドイツ、エジプトなどの政府、「核のない世界」の実現を目指す世界のNGOなどから100人以上が出席しました。

 OICのイフサンオウル事務局長は基調演説で、核兵器全廃を達成するとした核保有国の「明確な約束」を再確認したNPT再検討会議は重要だったと指摘。「しかし核保有国はこの誓約を順守することを渋っている」と批判し、「自国の安全保障を理由に核兵器保有を正当化することはできない」と強調しました。

 また「最終文書」にうたわれた中東非核地帯創設会議を2012年に開催することの重要性に言及。同会議を成功させるためにイスラエルが「中東と世界の平和と安定の脅威となっている核保有」を放棄するよう呼びかけました。

 エジプト政府代表のシェイカー氏は、イスラエルの核兵器が軍拡を招いているのに大国はこれを終わらせようとしていないと批判。米国の核問題研究者は、イスラエルの核保有が近隣諸国への脅威となって、核保有を目指す国もあると指摘しました。英国の研究機関・英米安保情報評議会(BASIC)代表は12年の会議に「イランとイスラエルを含む各国の高級代表団が参加するよう努力しなければならない」と強調しました。

 一方、NATO代表は「NATOの戦略は核兵器のない世界を実現することだが、段階的に進めなければならない」と発言。「多くの国が核による保護を求めている」と「核抑止力」論を展開しました。

 これに対し、英国の反核活動家レベッカ・ジョンソン氏は「NATOの新戦略概念はNATO防衛における核兵器の役割をうたっている」と指摘。「多くの加盟国はNATOが核軍縮でもっと大きな役割を果たしてほしいと考えている」と強調しました。





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