2010年10月23日(土)「しんぶん赤旗」

米軍ダイバート恒常化

沖縄 嘉手納から普天間へ目的地変更

市民襲う騒音 激増

「まるで戦場」 悲鳴と怒りの声


 沖縄県で、米軍が嘉手納基地(嘉手納町など1市2町)の滑走路改修を理由に、同基地の所属機を普天間基地(宜野湾市)にダイバート(目的地変更)とこれに伴う訓練を行っています。市の抗議を無視した訓練強行に、市民・県民から怒りの声が上がっています。(内田達朗)


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(写真)警察の厳重な警備のなか、ダイバート訓練に怒りのこぶしをあげる集会参加者=1日、沖縄県宜野湾市

 「赤ちゃんが怖がり泣いて、お昼寝もできない」「心臓が悪く、自宅療養のため自宅で休んでいるが、騒音がひっきりなし。命にかかわる問題です」「まるで戦場。昼はプロペラ機・ヘリコプターの騒音で苦しめられ、夜はジェット機の騒音。たまらない」―。

 市の「基地被害110番」に市民からよせられた悲鳴と怒りの声です。

1年半実施通告

 9月21日夕方、沖縄防衛局から市に、ダイバートについての米空軍文書の写しがファクスで送られてきました。嘉手納基地の2本の滑走路を10月から2012年3月までの1年半かけて順次改修していく計画で、9月22日以降、ダイバートを実施していく、としています。

 ただちにイハ洋一市長(当時。県知事選出馬のため辞職)は、沖縄防衛局、在日米軍や海兵隊司令部などに中止を要求。しかし、22日午前10時15分にF15戦闘機2機が飛来し、米軍は訓練を強行しました。

 市の観測では、訓練が始まった22日から10月5日までの2週間に、滑走路の端から約520メートルにある上大謝名(かみおおじゃな)公民館では、電車通過時の高架下に相当する100デシベル以上の騒音を27回も確認。訓練実施前の9月1日から21日までの3回から大幅に増加しました。

 このうち5日午後2時ごろには、123・6デシベル(ジェットエンジンのすぐそばに相当)を測定。その後も、14日には100デシベル以上を5回、16日には8回測定しました。(表)

全会一致の抗議

 普天間基地は市の中心部を占め、米軍機は住宅や学校、病院、公共施設の上空で、無法な飛行を繰り返してきました。そのうえ本来緊急的な措置であるダイバートを、長期的に行うことに地方議会も強く反発しています。

 那覇空港もダイバートの対象とされていることから、那覇市議会が意見書を可決し、県議会も抗議決議や意見書をいずれも全会一致で可決しました。県議会の決議・意見書は、訓練の実施について「米軍の恣意(しい)的かつなし崩し的な基地運用のあり方を示唆するものにほかならず、県民は到底納得できない」と批判しています。

 「普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟団」の島田善次団長は憤ります。「裁判でも“世界一危険な基地”と指摘された普天間基地で、傍若無人な訓練を続けるなど、沖縄の人間をなんだと思っているか。抗議行動を続け中止を迫っていく」


 ダイバート 航空機の目的地変更のこと。目的地の空港が気象条件や事故で閉鎖されているとき、飛行機の燃料不足や故障などの場合、別の空港に着陸することができます。

表




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