2010年10月18日(月)「しんぶん赤旗」

「完全自由化」のTPP協定

首相は“参加検討”いうが

自給率低下、農山村荒廃に


 菅直人内閣は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)という耳慣れない自由貿易協定への参加を検討すると言い出しています。この協定は、日本の主食の米をはじめすべての関税を撤廃して完全自由化するものです。食料自給率向上はおろか、農山村荒廃促進の道です。(中沢睦夫)


与野党で議論

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(写真)アジア太平洋経済協力会議(APEC)の食料安全保障担当大臣会合に対抗して、「自由化をやめ、食料自給率向上を」とデモ行進する人たち=16日、新潟市

 発端は、菅首相の今国会の所信表明演説(1日)です。

 「環太平洋パートナーシップ協定交渉などへの参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指します」 これを受け、今国会では、自民党も交えて「TPP参加」議論が盛んです。

 「アジア太平洋の市場は非常に大きく、日本もTPPに参加しなくてはならない」(自民党・西村康稔議員)、「いかに自由貿易に踏み出していくかという観点で与野党で議論をしてもらいたい。その一つの検討材料がTPPだ」(前原誠司外相)=いずれも13日の衆院予算委員会。

 そもそも、このTPPとは何でしょうか。

 「環太平洋パートナーシップ協定」は、環太平洋戦略的経済パートナーシップとも呼ばれ、2006年に始まりました。

 当初の参加国はシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国。今年3月にはアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムが新たに参加を表明し、8カ国で交渉が始まっています。APEC(アジア太平洋経済協力会議)の加盟国が対象です。

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(写真)自由化すれば外国産米在庫が積み上がりぼう大な負担に(写真は横浜市鶴見区の民間倉庫)

 菅内閣の「新成長戦略実現会議」の資料によると、TPP協定の最大の特徴は、2015年までにあらゆる分野の自由化・関税撤廃を実施することです。一般的なFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)は、貿易額で1割程度は協定の例外にできます。それに比べても、際限のないものです。

 TPPに日本が加盟したらどうなるのか。

 農業の専門日刊紙・日本農業新聞は、社説にあたる「論説」で、次のように警告します。

 「日本がTPPに参加すれば、関税による国境措置は効力を失い、米、麦、乳製品や牛肉など畜産物、砂糖など多くの農産物が壊滅的な打撃を受けることは必至だ」(5日付)

 農水省試算では、米は90%の減、小麦99%減、牛肉79%減、豚肉70%減など「壊滅的な打撃」となります。食料自給率は12%に激減します。

生産基盤弱く

 “TPP参加検討”の条件に、戸別所得補償などの「自由化対策予算の増額」という議論があります。

 しかし、輸入自由化してから国内対策をとっても効果がないことは実証ずみです。

 日本農業は、1995年に外国産米の輸入をしたWTO(世界貿易機関)協定受け入れでは6兆円以上の対策費を使っていますが、農業の“生産基盤”は逆に弱くなっています。1990年に482万人もいた農業就業者は2010年には260万人に激減しました。年間15万人のペースで減っています。

 耕作放棄地は40万ヘクタールにもなりました。


「食料主権」守る貿易を 共産党主張

 民主党は、衆院選挙の政権公約(09年マニフェスト)で、「主要穀物等では完全自給をめざす」と明言しています。「TPP参加検討」との整合性はどこにもありません。

 日本共産党は、各国が自国の食料農業政策を自主的に決める権利「食料主権」を保障する貿易ルールをめざしています。

 7月の参院選の政策でも、次のように指摘しています。

 「日米FTA、日豪EPA、アジア・太平洋FTAでは、農業を除外することはありえず、日本農業に壊滅的な打撃を与えるのは必至です。日豪EPA交渉はただちに中止し、日米FTA、アジア・太平洋FTAには断固反対します」





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