2010年10月16日(土)「しんぶん赤旗」

遺伝子組み換え生物でMOP5

越境移動に新ルール


 名古屋市で11日から開かれていた生物多様性条約にもとづくカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)は15日、遺伝子組み換え生物(LMO)の安全な使用にかかわる国際ルールを定めた名古屋・クアラルンプール補足議定書を採択しました。18日から同市で始まる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に報告されます。

 補足議定書は、LMOが輸送中にこぼれ落ちて交雑するなどして輸入国の生態系を乱した場合、その責任と救済に関するもの。2004年にクアラルンプールで開催されたMOP1以来議論が続けられました。(1)LMOを原料にした食品などによる被害も賠償対象にするか(2)LMOの輸入国はLMOを取り扱う事業者に賠償を求めることができるか―が争点でしたが、▽賠償対象は越境移動したLMOに限定する▽賠償については輸入国が保険加入や基金設置を輸出側企業に求める国内法を定める権利をもつ―とすることで合意しました。

 同市で続いて開かれるCOP10は(1)生物多様性保全のための20年までの短期目標と50年に向けた中長期目標の決定(2)遺伝資源の利用から生じる利益の公平な分配のルールを決める名古屋議定書の採択―が大きな課題です。

 名古屋議定書をめぐっては、過去にさかのぼって利益配分を求める途上国側と、企業活動への規制強化に抵抗する先進国側などとの対立があり、交渉は難航。15日の記者会見では、手続き事項など議定書の条項の半分は合意ができていることが明らかにされました。


 生物多様性 多様な種類の生物が豊かにバランスを保って生存している状態のこと。生物種の多様性だけでなく、生態系や遺伝子の面での多様性も含まれます。





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